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小伝馬町の古民家カフェ惜しまれながら閉店 ドラマ「新参者」にも登場の歴史

すっかり片づけられた店内で、オーナーの鍋島ともみさん

すっかり片づけられた店内で、オーナーの鍋島ともみさん

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 小伝馬町の古民家カフェ「紅(もみ)」(中央区日本橋小伝馬町8)が、10月31日最後の営業を終えた。

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 11年前の8月、未だこの辺りにほとんどお洒落な店が無い頃に営業を開始。以来、小伝馬町のお洒落なカフェと言えば「紅」という存在感を示し続けてきた。日本橋・人形町エリアでドラマ「新参者」のロケが行われていた頃には、その番組プロデューサーに注目され、番組の中で主人公がパフェを食べる店として登場。このパフェは後に「紅」の名物メニュー「キャラメルみたらしパフェ」として閉店まで人気を博した。

 最初はオーナー経営者の鍋島ともみさんがひっそりと一人で始め、忙しくなれば友達に手伝ってもらう形のこじんまりとした経営だったという同店。しだいにメディアに取り上げられるようになり顧客も増えていった。その頃、元々はお客だったプロのパティシエがこの店に惚れ込み、ここで働くということで近くに引っ越してきてくれたのを機に、覚悟を決めて、きちんと人を雇う本格的なカフェ経営に切り替えたという。

 「ドラマ『新参者』のロケで使われるようになりお客さんが一気に増えました。最初はスタッフを増やさず対応しようと頑張りましたが、みんなへとへとになってしまい、人も増やして居住用に使っていた2階もキッチンにリフォームして更に経営を拡大しました。」と鍋島さん。「新参者」は映画化され集客効果は数年続いたが、それでも徐々に落ち着いてきて、しだいに拡大した規模を維持しきれなくなった。「飲食」や「カフェ」の経営よりも、日常に疲れた人が集まってふっと癒される、リセットされる、静かでくつろげる空間を作りたかったという鍋島さん。「紅」という店名も、黄色→ピンク→深紅と鮮やかに色が切り換っていく紅花染めからとっており、この店に関わることで客もスタッフも自分も「鮮やかに変わっていければ…」という思いを込めていたという。

 「スタッフの皆さんがとても気持ちのいい仲間となってくれていましたのでなんとかみんなでやっていきたいと、いろいろ工夫したり動いたりしたのですが、なかなかうまくいかず…。結局そういった諸々に疲れてしまったのだと思います。主人は茅場町で『鳥徳』という何代も続く鰻と焼鳥の老舗を経営していまして、経営の目線からもいろいろと話し合って最終的に閉店することにしました。」と振り返る。

 「今は、『鳥徳』と同じ茅場町にあるベルギービールバー『TALO』の3階で、『Atelier 紅』というサロンを開いています。紅の精神を受け継ぐ場としてワークショップや料理教室を行っています。でも、やはり誰かのために料理を作るのが好きなのですね。もういちどカフェをやりたいと場所探しを少しずつですが始めています。今度は規模を大きくせずに一人でこじんまりと長く続けていきたいなと。」と今後の抱負を語っていた。

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