丸ビル(千代田区丸の内1)1階マルキューブ、3階回廊で7月25日、「アートアワードトウキョウ丸の内2016」が始まった。
現代アートの芥川賞ともいわれる同展。予選を勝ち抜いた20作品を展示する。
今年で10年目を迎え、ジャンルを超えた若手アーティストの登竜門として知られる同展。全国の美大・芸大・大学院の卒業制作が対象で、毎年審査員が全国の美大を訪問し、作者に直接会って作品を見た上で応募を勧めるという。
第1回から選考に関わってきたという京都造形美術大学教授の後藤繁雄さんは「今回も含め10年間で約450人のアーティストを発掘してきたが、その多くが国内外で活躍している」と振り返る。「毎年、さまざまな若い作家に出会えるのがこの仕事の醍醐味(だいごみ)。年々学生のレベルは上がっているので、これからの10年も楽しみ」と話していた。
今回は、応募作品129点の中から1次審査を経て選考された絵画や彫刻、版画、インスタレーションなどの力作20作品を展示し、グランプリや審査員賞など10作品を選出。グランプリを獲得したのは東京藝術大学・大学院、村田勇気さんの彫刻作品「大気圏」。古くから伝わる仏像の寄せ木造りの技術に自ら編み出した独自の技法を加えて制作した力作だ。
突然の受賞に「今年の初夢に富士山が出てきて気になっていた。このことを指していたのかも」と村田さん。「約半年かけて55個のパーツをコツコツと作り上げて組み上げた。何より木彫りという地道で愚直なアートワークに光を当てていただけたことがうれしい」と笑顔を見せていた。
開催時間は11時~21時。入場無料。8月3日まで。