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日本橋でSDGsと社会貢献考えるフォーラム ムハマド・ユヌス博士らが講演

「金を稼ぐことはハッピーだが、人を幸せにすることはスーパーハッピー」とユヌス博士

「金を稼ぐことはハッピーだが、人を幸せにすることはスーパーハッピー」とユヌス博士

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  SDGsと社会貢献について考える「ソーシャル・ビジネス・フォーラム2019」が11月20日、ベルサール東京日本橋(中央区日本橋2)で開催された。

登壇者の1人、アーティストで東京芸術大学デザイン科准教授のスプツニ子!さん

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 ソーシャルビジネスは自然環境や貧困、高齢社会などさまざまな社会課題を市場機会として捉え事業を通して課題解決に取り組み、持続可能な社会づくりを目指すビジネスモデル。無担保小口融資(マイクロクレジット)を行うグラミン銀行創始者でノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士が提唱した。

 同フォーラムではユヌス博士をメインゲストとして招き、「持続可能な未来のためのソーシャル・ビジネス」をテーマに、ボーダレス・ジャパン社長の田口一成さんやアーティストで東京芸術大学デザイン科准教授のスプツニ子!さん、九州大学SBRC特任教授の岡田昌治さんなどソーシャルビジネスやSDGsを広める専門家や、起業家がゲストスピーカーとして登壇した。

 パネルディスカッションではソーシャルビジネスの起業家を代表して、一般社団法人グラミン日本理事の兒玉久実さん、LORANS社長の福寿満希さんらが「私たちのソーシャルアクション」をテーマにトーク。スプツニ子!さんは「問いを立てるデザイン―多様な人が生きやすい未来を描くには―」と題して、東京医大入試の女子受験者減点の事例をパロディにした「東京減点女子医大」構想を紹介した。国連で緒方貞子さんの補佐官として勤務した経験を持つ「SDGパートナーズ」の田瀬和夫CEOは「SDGs時代の六方よし経営」のテーマでSDGsの本質をレクチャーした。

 メインスピーカ―のユヌス博士は、地球を滝の前の激流に浮かぶ小舟に例え、待ったなしの環境問題に警鐘を鳴らす。「世界の99%の人が1%の人に人生を委ねているという『富の集中』の問題はまさに時限爆弾」と話す。AIや自動化の影響で今後10年の間に8億人が仕事を失うというマッキンゼーリポートに触れ、近い将来の失業率増加の問題を指摘した。

 「人間はマネーマシンではない。新しいゴールを目指すには新しい道を作らなければならない」とユヌス博士。「金を稼ぐことはハッピーだが、人を幸せにすることはスーパーハッピー。社会課題を解決して人を幸せにするビジネスを創造していこう」と話していた。

 さらにオリンピック・パラリンピックを『ソーシャルビジネス』と捉え、2024年のパリ大会では、IOCの中にユヌス事務所を構え、選手村などの施設建設を貧困問題の解決につなげるなど、大会の運営を通してフランスが持つ社会課題の解決を目指すという構想を披露した。

 会場には定員500人を大きく上回る650人の受講者が詰めかけ、立ち見が出るほどの人気を呼んだ。主催者の小野祐紀香さんは「おかげさまで多くのお客さまにお越しいただいた。来年は、社会課題の解決をビジネスの領域だけで考えるのではなく アートやデザインの力でソーシャルグッドをエンパワーメントする 『SocialBusiness・SDGs』×『アート』(仮)を企画している。興味のある方はぜひプラン段階から参画してほしい」と話していた。

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