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兜町のギャラリーユキシスで版画展 江戸から続く技を現代アートに投影

ギャラリーユキシスオーナーの寺嶋由起さん

ギャラリーユキシスオーナーの寺嶋由起さん

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 兜町のアートギャラリー「YUKI-SIS(ユキシス)」(中央区日本橋茅場町1)で6月10日、現代木版画家湯浅克俊さんの作品展「Fragmentary(フラグメンタリー)」が始まる。

2メートル×3メートルの大型作品「Summer snow」

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 「フラグメンタリー」は、英語で「さまざまな断片から形成されたもの」を意味する。展示作品は、江戸時代に広がりをみせた浮世絵に始まる「木版画」の伝統技法を採用する。ギャラリ―オーナーの寺嶋由紀さんによると、木版画はかつて「作画、彫り、刷り」とそれぞれ分業していたが、湯浅さんは全行程を一人で行い、自ら撮影したデジタル写真を素材に、彫刻刀で手彫りし、バレンで手刷りして作品化しているという。

 作品は新作をはじめ、2022年にFranz Gertsch(フランツ・ゲルチュ)美術館(スイス)と金沢21世紀美術館(石川県)で展示した2メートル×3メートルの大型作品「Summer snow(サマースノウ)」を含む10点を展示する。湯浅さんは「『Summer snow』は今回初めてギャラリースペースで展示する。大きな美術館とはまた違った味わいがあるので、じかに見てほしい」と話す。

 同ギャラリーは、オーナーの寺嶋さんが5月に約10年を過ごした日本橋三越駅周辺から移転した。店舗面積は23坪で、同ビル1階の現代美術画廊「ベイスギャラリー」アドバイザーの大西利勝さんからの紹介をきっかけに移転したという。同ビルで長らく空室だった2階部分には現在、2023年3月に閉館したアーツ千代田から移転した「ARTDYNE(アートダイン)」と「ex-chamber(エックスチャンバー)museum」が入居している。  

 「内見の段階ではまだ何も決めていなかったが、大きな窓から望む川のある風景を見た途端、移転する心づもりになっていた」と寺島さん。「ここに来てからは、いつでも声をかけられる距離に同業者がいることがとても頼もしいし、皆さんのおかげで刺激があってうれしい」とも。    

 展示初日の6月10日は、レセプション(17時~)、仏文学者の桑田光平(くわだこうへい)さんと作家を招きトークセッション(18時~)を行う予定。開催中の営業時間は12時~19時。日曜・月曜定休。期間中は作家が在廊する。7月1日まで。

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