
「七夕祭」に向けた奉納奉告式が6月24日、日本橋の福徳神社(中央区日本橋室町2)で執り行われた。
「にんべん」が福徳神社に「めんつゆ」奉納 7月7日そうめんの日にちなみ
七夕にそうめんを食すという古来の風習にちなみ、だしの老舗「にんべん」(日本橋本店)と手延べそうめんの「てのべたかだや」(奈良県桜井市)が、「つゆの素」と「そうめん」を奉納した。
同神社宮司の伊久裕之さんによると、七夕にそうめんを食べる習わしは、平安時代に編さんされた『延喜式』に由来する。七夕の宮中行事において供えられた「索餅(さくへい)」が、そうめんの原型とされ、無病息災を願う風習として長らく受け継がれてきた。
江戸時代の風俗誌『東都歳時記』にも「各々冷素麺を食べ」と記されており、当時の日本橋かいわいでも七夕にそうめんを味わう風景があったとされる。現代ではあまり知られていないが、全国乾麺協同組合連合会ではこの伝統を後世に伝えるため、1982(昭和57)年に7月7日を「七夕・そうめんの日」と定めている。
今年は、七夕の伝統を広く知ってもらう目的で、「つゆの素」と「そうめん」が奉納された。奉納式には、にんべん本店の店長と広報担当者が出席し、神前に心を込めて供物をささげた。初の試みとして、織姫と彦星が渡る橋を作ったとされるカササギを模した短冊「鵲(かささぎ)の儀願掛け札」(初穂料500円)を用意する。
七夕当日の7日は15時から、一般参拝者向けに祭事を行う。先着15人の事前予約制。参拝者は殿内に入り正式参拝できる。祭事終了後には神前に奉納されたそうめんを「おさがり」として配布する。
伊久さんは「七夕は星に願いを込めるだけでなく、無病息災を祈る意味もあった。そうめんを通して、その由来に触れてもらえたら」と話す。