水天宮前交差点近くにある老舗和菓子店「京菓子司 壽堂(ことぶきどう)」(中央区日本橋人形町2、TEL 03-3666-4804)は7月22日、夏季恒例の冷たい和菓子「氷ようかん」の販売を始めた。
1884(明治17)年に創業し、関東大震災後に人形町で営業を始めた同店。戦後間もなく建てられた現在の店舗には、昭和風情とニッキの香りが漂い、看板商品の「黄金芋」は90年の歴史をもつ。
20年ほど前、毎年8月初旬に同地区で行われる「せともの市」に何らかのかたちで参加したいと店主の杉山浩一さんが考案したのが、水ようかんを凍らせて作る同商品だった。2センチ角、長さ4センチの小ぶりなサイズのようかんに竹串を挿して凍らせることで食べやすくした。製造には約36時間を要するが、100円という価格にこだわり20年間変えていない。
「せともの市は普段の10倍近い人出がある。和菓子は持ち帰って食べるものが多いが、その場で構えることなく食べられるものがいいと思った。暑い時期なので冷たい菓子にした」と杉山さん。「小豆と寒天、砂糖だけで作っている」という同商品は、ひんやりとして甘さはひかえめ。一般的な小倉アイスクリームや氷菓とは異なる味わいがある。やわらかい食感を残しながら形を崩さないため、ちょうど良い凍り具合になるよう、ようかんの煮つめ方に工夫を加えたという。
宣伝などは行っていないが口コミで評判になり、現在では人形町の「夏の風物詩」として定着してきた。通常は1日約100本、せともの市開催中は200~300本が売れるという。
営業時間は9時~21時(日曜・祝日は18時まで)。氷ようかんの販売は例年9月初旬ごろまでだが、売れ行きが好調に続けば延長もあるという。「今年の夏の暑さがどれくらい続くかによる」と杉山さん。