丸善日本橋店の3階フロアで5月11日、クレイアート展「奥泉幸子展~花と人と道~」が始まった。
病気の治療がきっかけで、「摘み花」クレイアート作りを始めたという奥泉さん
樹脂粘土で作った山野草に創作陶器やガラス器、書などを組み合わせて展示する同展。奥泉さんが独学で編み出したというクレイアートによる「摘み花」は細かい葉脈まで再現する超絶技巧。まるで実物の草花のように精密だ。
野に咲く草花はもちろん、「雑草」と呼ばれるアスファルトなどの隙間から力強く咲く草花を見つけては、それらの花びらや葉、茎を丁寧に分解し構造を分析して、樹脂粘土と油絵の具で再現している。
各地の教室でクレイアートの指導を行う奥泉さんは全国で100人を超える生徒を持つ。生徒の中には陶芸家やガラス作家などの工芸家も多く、今回はそうした作家たちとのコラボレーション作品も展示。教室での指導は「摘み花」作りだけにとどまらず、心構えも説いているという。
「1998年にこの手法を編み出したが、日々進化を続けており、いまだに発展途上」と奥泉さん。「大切なのは『間』と『加減』。不要なものをギリギリまでそぎ落とすことで『本質』が見えてくる。単に花作りを学ぶのではなく、摘み花作りを通して、『こだわり』『とらわれ』『偏り』をなくす生き方を自然から学び、人間としての『心の目』を養うことが目的」と話す。
開催時間は9時30分~20時30分。入場無料。5月17日まで。