日本橋上の首都高速道路地下化の区間について、国土交通省が5月22日、神田橋ジャンクション~江戸橋ジャンクション間の約1.8キロメートルとするルート案を東京都、中央区、首都高速道路会社など関係者に提示した。
日本橋川の地下周辺には東京メトロ半蔵門線、銀座線、都営浅草線や通信ケーブル・送電線を埋設した洞道などがあり、これらを避けて地下トンネルを設置する検討をした結果、同ルートが対象区間となったという。
片側2車線で、JR東京駅の北側から地下に入り、既存構築物を避けてうねるような形で日本橋の下を通過し、江戸橋ジャンクションの高架部分と接続。この区間の高架道路は取り壊し、呉服橋と江戸橋のインターチェンジも無くす。
日本国道路の原点で五街道の起点となる重要文化財「日本橋」だが、1964(昭和39)年の「東京オリンピック」を期に橋上を首都高速が走り、長い間景観を損ねていた。老朽化の問題もあり地元からは撤去移設を求める声が上がっていた。
「日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会」の橋本敬会長は「名橋日本橋保存会や地元企業、団体などと共に約44万2000人の署名を集め、衆議院議長、参議員議長宛てに『日本橋地域の上空を覆う首都高速道路の撤去又は移設に関する請願書』を提出してきた。約半世紀にわたり高速撤去に取り組んできた諸先輩や関係者の努力がやっと報われた」と振り返る。「日本橋の再生は、まずは日本橋の景観と水辺の美しさを取り戻すことから始まる。地元の悲願だった首都高撤去はその第1歩だが撤去決定に安心せず、今後は15年とも20年とも言われている撤去・地下化工程のスピードアップに取り組んでいきたい」とも。
「首都高地下化による経済効果は大きい。日本橋地域にとって大きなチャンス」と日本橋川に面する和食店「豊年萬福」店長の星野太助さん。「当店には1、2階に日本橋川にせり出したテラス席があり、四季折々の空気を感じていただける。来店者の2割はインバウンドのお客さまで、好んでテラス席を選ばれる。首都高速撤去で、心地良く召し上がっていただく環境が充実して利用客がさらに増えるのでは」と期待を寄せる。