日本橋浜町の「明治座」が4月11日、デジタルテクノロジーを使った新たな緞帳(どんちょう)「四季喜昇座 時を紡ぐ緞帳」を公開した。
「今後も積極的に新メディアや技術を取り入れたい」と三田芳裕社長
明治座は1873(明治6)年4月28日、日本橋久松町にオープンした「喜昇座」が前身で、東京で最も長い歴史を持つ劇場として知られる。関東大震災や東京大空襲などで被災し何度も建て替えを行ってきたが、芸能の街「人形町」のシンボルとして長年営業を続けてきた。当時、芝居小屋としてはいち早く椅子席やガス灯を導入。日本で初めてシェークスピア劇を上演するなど、革新的な経営で日本のエンターテインメント界をけん引してきた。
今回は創業145周年を記念して、アート集団「チームラボ」に緞帳(どんちょう)の制作を依頼。新しい緞帳は伝統的な緞帳のきめ細やかな装飾をデジタルによる映像表現で再構築し、縦7メートル×横20メートルの大画面に4K 解像度と同等の高画質で再現する。
緞帳には、明治座が誕生した文明開化の時代の日本橋の町並みが当時の多様な職業の人々や、歴史上の人物とともに描かれる。実際の日本橋の天候や時間、季節にも連動し、日の出とともに画面が明るくなり、日の入りが近づくと夕焼けに、夜が深くなるにつれ暗くなっていく。実際の季節に合わせて、たこ揚げ、花見、祭り、雪景色などの季節の営みも表示。作品の中は時の流れが止まることなく、1 年を通して刻々と移ろい続けるという。
「明治座の歴史は革新の歴史。今回は時代の最先端を行くチームラボさんに新しい緞帳をお願いしたが、今後もライブビューイングなど積極的に新しいメディアやテクノロジーを取り入れていきたい。第2弾、第3弾とデジタル時代に合った新企画を検討したい」と三田芳裕社長。「創業以来、人形町など近隣のみなさまにも何度も助けられてきた。より多くのお客さまにご来場いただいて観劇の前後に街歩きをお楽しみいただくことなどで地元の活性化につながれば」と話す。