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日本橋の老舗きもの店内に蔦重「耕書堂」再現 大河ドラマ開始記念で

手づくりの耕書堂の展示を説明する田源7代目当主の田中源一郎さん

手づくりの耕書堂の展示を説明する田源7代目当主の田中源一郎さん

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 江戸時代中期に活躍した蔦屋重三郎の地本問屋「耕書堂」の再現展示が1月6日、老舗呉服問屋「イチマス田源」(中央区日本橋堀留町2)店内で始まった。

江戸のメディア王、蔦屋重三郎の耕書堂を店内に再現

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 1750(寛延3)年に新吉原(現在の台東区千束付近)で生まれた「蔦重(つたじゅう)」こと蔦屋重三郎は、ヒット作を連発した凄腕出版プロデューサー。多色刷りや斬新なレイアウトなどにより、遊郭のガイドブック「吉原細見」を皮切りに黄表紙(挿絵入りの物語)や浮世絵などの出版物が人気となった。蔦重は後に当時江戸の中心地であった日本橋通油町(現在の大伝馬町)に「耕書堂」という地本問屋を開業。今年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の主役として注目を集めており「イチマス田源」は、その「耕書堂」を店内に再現した。

 老舗が多い日本橋に居を構える「田源」も例外ではなく歴史が古い。近江出身で行商をしていた初代の田中源治が1816年に創業今年で209年目となる。現在の当主の田中源一郎さんは7代目。元は呉服問屋だったが、現在は小売りのほか、着物初心者に着付けなども教えている。店内のスペースを使った「中央区まちかど展示館」ではイベントを開き、地域住民に親しまれている。

 田中さんによると、店内に再現している「耕書堂」内のそろばんや帳簿などは江戸時代に田源で実際に使っていた物という。北斎の浮世絵を手本に、黄表紙や浮世絵などを田中さん自らパソコンやプリンターを使って作成した。展示品には近隣の老舗仲間から調達した物も並ぶ。浮世絵は「小津和紙」の和紙に印刷、刷毛は「江戸屋」、つづらは「岩井つづら店」といったようにオール日本橋でそろえた。

 「当時から受け継がれた技術を継承している店の物を使った」と田中さん。「展示の目的は、店の売り上げのためというよりも、日本橋周辺の文化や魅力を伝えるために行っている。昨年から一部公開してきたが、5日の大河ドラマ第1回放送を待って正式に一般公開した。ドラマの聖地巡礼の拠点として利用していただけたら」と話す。

 着物姿で展示を見に来た常連客の塩田京子さんは「土地の記憶を探すことが好き。元々この地域が耕書堂と縁がある場所で、こういった展示が見られてうれしい。風景は変わっていても、時間をさかのぼればこういう光景があったかもしれない、と過去に思いをはせるのも楽しみの一つ」と笑顔を見せ、熱心に見入っていた。

 営業時間は10時~17時30分。入場無料。

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