
江戸時代初期、徳川家康に外交顧問として仕えたウィリアム・アダムスこと三浦按針をテーマにした講演会「三浦按針と日本橋」が5月10日、伊場仙ビル7Fセミナールーム(日本橋小舟町4)で開催される。主催は「三浦按針の会」(横須賀市西逸見町)。
同会は「地元民が地域に誇りを持つ」を活動理念として地元の郷土史研究家や地元民が2008(平成20)年から活動を続けている地域団体。今回の講演では按針の菩提寺「浄土寺」(横須賀市)住職で同会事務局長の逸見道郎さんが講師を務め、波乱に満ちた按針の人生や、按針研究を通して知ることができた「新たな家康像」について解説する。
英国生まれの航海士、三浦按針は、1600(慶長5)年4月にオランダ船「リーフデ号」で豊後国(現在の九州・臼杵市)に漂着。日本に来た最初の英国人で、謁見した家康に重用され外国人で唯一、領地を与えられたことでも知られる。人気の海外ドラマ「SHOGUN」に登場するジョン・ブラックソーンという英国人航海士のモデルとしても注目されている。
逸見さんは「按針は家康の外交顧問であったほか、1600(慶長5)年9月の関ケ原の戦いでは大砲の提供で東軍勝利に貢献している。記録が乏しく正確にはわからないが日本橋魚河岸の初期の様子を示す史料では三浦半島や横須賀などで獲った魚を運び、日本橋安針町(現按針通り)の魚河岸から江戸城に納める権利獲得に按針が関わった可能性もある」と話す。
かつて他の自治体と共に大河ドラマの主人公に按針をとNHKにはたらきかけをしたという逸見さん。「主役は叶わなかったが大河『どうする家康』では、家康の外交を按針が顧問として支えたことを描いていただいた。これは平戸市の呼びかけで集まった横須賀、臼杵、伊東の按針ゆかりの4市による協働の成果」と笑顔を見せる。
「日本橋との縁は浅かったが2023年の『日本橋・京橋まつり』パレードに参加する機会をいただき、『どうする家康』で按針を演じた村雨辰剛さんも参加して多くの来場者の注目を集めた。2024年も参加したものの、横須賀市からの参加理由が十分に伝わっていないと感じ、日本橋での講演会を企画した」と逸見さん。「横須賀というと米軍基地やペリー来航のイメージが強いが、江戸時代初期には三浦按針の領地として発展し日本橋とも歴史的にご縁のある土地柄。横須賀、日本橋双方の方々に、その深い関わりを知ってほしい」と話していた。
講演後は日本橋の按針ゆかりの地を巡る街歩きツアーも開催。按針の妻とされる「馬込勘解由(まごめかげゆ)の娘」にゆかりの「馬込勘解由屋敷跡」や日本橋北詰の按針屋敷跡などを訪問する。
開催時間は14時~(受付開始13時30分)。参加費は1,000円(事前予約制)。申し込みは同事務局(浄土寺内:TEL 046-822-1033 FAX046-822-1033)で8日まで受け付ける。