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中央区で平和展 戦後80年、記録と証言を次世代へ継承

日本橋区民センター2階第1洋室の「通常展」では、日本橋の戦前から戦後の風景を写真でたどる

日本橋区民センター2階第1洋室の「通常展」では、日本橋の戦前から戦後の風景を写真でたどる

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 「中央区平和展~永遠の平和を願って~」が8月1日、中央区内の5施設で始まった。主催は中央区。

戦争の終結や平和の大切さ次世代につなぐ

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 同展は東京大空襲のあった3月に毎年開催してきたが、戦後80年を迎える今年は終戦の日を含む8月に時期を変更。展示は「通常展示」と「戦後80年平和祈念展示」の2本立てで構成する。

 「通常展示」は日本橋区民センター2階第1洋室(日本橋蛎殻町1)、中央区役所本庁舎1階ロビー(築地1)、月島区民センター1階ロビー(月島4)、晴海区民センター1階メインエントランス(晴海4)の4拠点で開催。当時を物語る写真パネルや戦災体験者の証言DVDを上映するほか、戦時中の生活や空襲被害の実態を記録資料で伝える。中央区役所1階ロビーでは、戦時下の日用品や国威発揚の玩具、「中央区の戦後復興」をテーマにしたパネルなどを展示する。

 「本の森ちゅうおう」(京橋3)では、「戦後80年平和祈念展示」として、旧日本橋区・旧京橋区の戦災を記録した写真パネルを並べる。2階の郷土資料館企画展示室には平和関連書籍コーナーを設置。会場では区民や来館者が足を止める姿が見られた。

 中央区によると、区内の下町地域では1944(昭和19)年から終戦までに15回の空襲があり、特に1945(昭和20)年3月10日の東京大空襲では甚大な被害を受けたという。1988(昭和63)年に区が「中央区平和年宣言」を行って以降は、平和展や平和教育プログラム、音楽会「平和の都市(まち)の楽しい集い」などの事業を展開している。

 同区は2008(平成20)年、「中央区平和祈念バーチャルミュージアム」を開設。インターネット上で平和資料を公開し、体験者の減少とともに風化しつつある記憶の継承に努めている。

 区民部地域振興課長の平川さんは「戦争を体験した世代が少なくなる中、戦争の悲惨さや平和の大切さを次世代に伝えるため、このような平和展を企画してきた。同時に中央区における戦争の記録や戦災資料をいつでも見ることのできる資料館『平和祈念バーチャルミュージアム』をインターネット上で公開している」と話す。「空襲被害や当時の生活状況を伝える資料の収集・保存も続けていて、貴重な物品や資料を区民の皆さまからご提供いただいている」とも。

 会場では戦災証言のDVD映像を視聴する来場者の姿もあり、展示資料に見入る高齢者や親子連れの姿も見られた。男性来場者の一人は「京橋も被害が大きかった地域。今こうして穏やかに本を読む人がいることに感慨を覚える」と話していた。

 開催時間は各施設の開庁時間に準ずる。詳細は中央区ホームページの「平和祈念バーチャルミュージアム」特設ページに掲載する。「戦後80年平和祈念展示」8月10日、「通常展示」は8月18日まで。

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