日本橋地区などの日ごろ見ることができない街の建物内部を一般公開するイベント「open! architecture(オープン・アーキテクチャ)2010」が5月21日、始まった。建築物を一斉公開する催しとしては日本初の試みで、開催は今年で3回目。
建築学博士である斉藤理さんが、ドイツ留学中に現地で体験した同様のイベントに感銘を受け、「日本の都市にも多数存在する文化的価値のある建物を再発見したい」と企画した。
ガイドブックに載るような歴史的建造物だけでなく、住宅やオフィス、倉庫、学校など、日常的に使用されている建物や最新技術を使った建物なども公開対象とし、ただ見学ができるだけでなく、建物の所有者やゆかりのある人自身が解説を行うのが特徴。
「専門家による建築の知識と、その建物を使う人によるエピソードの両方を通じて地域の歴史を学び、未来のまちづくりに生かす」ことを目指す同イベント。「自分が使っている建物の文化的価値を知らない人も多い」と斉藤さん。候補となる建物も、それについて説明できる人がいなければ公開できないため、「解説者を育てることが必要」だという。「建物にかかわる人の『誇り』を伝えていくことが都市の魅力を増す手段」とも。
今では、斉藤さんの考えに共感する人々の手でイベントは全国的な広がりを見せ始め、今年は日本橋をはじめとする東京各所のほか、横浜、軽井沢、大阪など全国約50カ所で開催。日本橋地区では三井本館、日本橋三越本店、日本橋高島屋、日銀本店、常盤小学校などが公開される。
初日の21日は、都市空間を舞台に演奏活動を行う「都市楽師プロジェクト」との共催で、日本橋・江戸桜通りを会場として大屋外演奏会を開催。約2,000人が歴史的建築物と音楽の融合を楽しんだ。
建物見学は全回解説付きで事前申し込み制。6月13日まで。