日本橋三越本館(中央区日本橋室町1)6階にある「三越劇場」で8月30日、江戸時代の映像技術「江戸写し絵」などを楽しむ伝統芸能公演「江戸の賑(にぎ)わい」が行われる。主催は伝統芸能専門イベント企画会社「新日屋」(日本橋久松町)。
オランダから渡来したマジックランタンの原理を応用した日本独自の影絵「江戸写し絵」
「江戸写し絵」とは、18世紀にオランダから渡来した「幻灯機」(マジックランタン)の原理を応用した日本独自の影絵。「種板」と呼ばれるガラス板に絵を描いたスライド「種板」を、「風呂」と呼ばれる木製の映写機を使い、和紙のスクリーンに映し出す。物語に合わせて語りや音曲を加える独特の芸能として江戸後期に誕生した。何人もの写し絵師が「からくり仕掛け」で絵を動かすが、スクリーンの裏側から投影するため見物人にはその様子が見えず、「絵が動いて芝居をしているように見える」と当時の人々を驚かせたという。
同公演は、昭和初期には廃れてしまった江戸写し絵を現代に復活させた写し絵師・山形文雄さんが明治から続く名称「薩摩駒花太夫」の3代目を襲名したことを記念して開く。「写し絵に関する記事を、たまたま目にして興味を持った。一枚の図を基に復元に取り組むところから始めて、本格的な公演を行うまでには試行錯誤で15年掛かった」と山形さん。地道な活動が実り、近年は「日本アニメの原点」と評価され、海外からの招請も多い。「薩摩駒花太夫の襲名し、2代目の子孫に受け継がれていた貴重な種板を譲り受けることができた。これを契機に、日本独自の映像技術を後世に伝えていきたい」とも。
公演では江戸写し絵の他、午前の部では日本の古典マジック「江戸手妻(えどてづま)」、午後の部では芳町(よしちょう)の芸者衆による踊り「吉兆手打式(よしちょうてうちしき)」も行う。
開演は、午前の部=11時、午後の部=15時30分。料金は、午前の部=3,500円(日本橋弁松総本店特製弁当付きプランは5,000円)、午後の部=4,000円(三越ビアガーデン付きプランは7,000円)。同社ホームページと三越劇場チケットショップで予約を受け付けている。