国際NGOプラン・インターナショナル(所在地:東京都世田谷区 理事長:池上清子 以下、プラン)とともに活動するプラン・ユースグループ※は、2024年12月に高校生1,000人を対象とした「性的同意」に関するアンケート調査を実施しました。
また、本調査をもとに、現状の課題を明らかにし、包括的性教育の推進に向けた提言をまとめた報告書を発表しました。
※プラン・ユースグループは、国際NGOプラン ・ インターナショナルとともに、ジェンダー課題や社会問題の解決に取り組み、調査や提言活動、プランの意思決定プロセスへの参画を行っています。高校生から社会人まで幅広いメンバーが所属し、年間を通じて活動しています。
「性的同意」に関するアンケート調査~性的同意を 「知る ・ 学ぶ ・ 話せる」 学校づくり~
<調査概要>
対象者 : 日本在住の 15-18 歳の高校生 1000 人 (女性 771 人、 男性 229 人)
調査方法 : Freeasy を利用したアンケート調査
質問項目 : 設問 12 問
調査期間 : 2024 年 12 月 02 日 ~ 2024 年 12 月10 日
教育現場での「性的同意」の学びの実態を明らかに
2023年の刑法改正により、同意なき性行為が犯罪とされ、公教育においても令和3年度(2021年度)から「生命(いのち)の安全教育」を通じて「性的同意」の重要性が強調されるようになりました。
しかし、教育現場で十分な知識が伝えられているのか、その実態は明らかではありません。
プラン・ユースグループが2021年に実施した調査では、約3割の若者が「学校での性教育が不十分」と回答。その要因として「内容が表面的」「実践的でない」「ジェンダーやセクシュアリティへの言及が不足している」などが挙げられました。
本調査では、「性的同意」に焦点を当て、性教育の現状と課題を明らかにすることを目的としました。
主な調査結果
68%が「性的同意」について「知らない」または「聞いたことはあるが説明できない」と回答
「性的同意」について学校で学んだと回答したのは63.9%。しかし、68%の生徒は、性的同意について「知らない」「聞いたことはあるが説明はできない」と回答しており、学校での学びが生かされていない現状にあります。
78%が「性的同意」について学校で教えてほしいと回答高校生は、学校が「性的同意」を学ぶ場としてふさわしいと考えています。学校で学びたい理由として、「正しい知識を身に付けたいから」(84%)、「自分や他者を大切にしたいから」(45%)、「周りの人とも性的同意について話し合えるきっかけになるから」(23%)という結果に。
現状では、「性に関する相談相手」としては、学校関係者は少数にとどまりました。
調査を受けての、ユースによる提言
「性的同意に関する実態調査をもとに、生徒が互いを尊重し安心して学べる環境の構築を推進し、将来的には包括的性教育の学校教育への定着を求めます」
<教育機関(学校)への提言>
●生徒・教員が双方向に学べる教育実践の導入
●専門家・外部講師の活用
●安全な相談窓口の設置
<政府・教育委員会への提言>
●包括的性教育の促進
●教育予算の拡充と支援制度の強化
●教員研修の必須化
調査にあたったプラン・ユースグループ メンバーの声
「性的なことになると、“人の嫌がることはしない”という認識が薄まるのはなぜか? 日本の性教育の現状は? これが本調査の出発点です。この調査結果が、少しでもより良い性教育を形作る一助となれば幸いです」(大学院2年生)
「“性的同意”は特別なことではなく、自分と他者を尊重する上での基本的な考え方です。今後、性教育や信頼できる相談先がさらにアップデートされることを願っています」(大学3年生)
「性に関する話題は“恥ずかしい”と思われがちですが、より気軽に相談できたり、安心して学べたりする場が必要だと感じます。今回の調査を通じて、生徒のリアルな声を社会に届けることで、少しでも前向きな変化を生み出せることを願い、これからも活動を続けていきたいです」(大学4年生)
国際NGOプラン・インターナショナルとは
誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動している国際NGO。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。
https://www.plan-international.jp/