
屋外にパブリックアートを展示する「ラッセル・モーリス展 O」が9月24日、大手町の「Otemachi One Garden」(千代田区大手町1)で始まった。
「Otemachi One Garden」は地下鉄大手町駅直結の複合施設「Otemachi One」にある緑地空間。6000平方メートルとエリア最大の広さを誇り、面積の約半分を占める芝生広場を今回イベントスペースに充てる。
今回は「Otemachi One」が取り組む自然とアートで、ほっと一息つける空間を提供する「Otemachi One ART BREAK」2025年の第2弾としてイギリス人アーティストのラッセル・モーリスさんを迎え、大型彫刻作品1点と小型彫刻作品群21点を展示する。
日本在住のモーリスさんは、80年代からイギリスのグラフィティ文化に関わりを持ち、93年にブランド「The Gasface(後のGasius)」を設立。以来、NIKEを含む多くの企業と協業するなど幅広く活躍している。今回は「Otemachi One ART BREAK」のために初めてパブリックアート作品を制作した。
24日に行われた記者向け説明会では、主催者の三井物産本社ビル・Otemachi One事業室の佐藤奈菜美さんがイベント概要を解説。今回モーリスさんを起用した理由について、佐藤さんは「自然科学やアニミズム、SFやアニメーションなど多様な分野に精通し、それらを融合させた作品で世界的に評価を得ている。Otemachi One Gardenもオフィス街にありながら自然と人が交差する空間になっている。大手町に憩いの空間を提供すると共に、生物多様性にも貢献する。モーリスさんの創作理念と響き合った」と説明する。
続いてモーリスさんがプロジェクトに携わった経緯や、長年関心を持ち作品にも採用している「infinity(無限大)」の観念、自然環境への意識が作品制作の発想源であることを紹介。「今回はこうした概念をリング(輪)という形で作品に展開した。プロジェクトタイトルは大手町のO、infinity(無限大)を示すO、『輪』の意味など全作品を通して一貫性ある意味を持たせることができた」とモーリスさん。
芝生エリアの入り口に設置した「You might not like it, but we’re all connected」と題したシルバー製の大型作品は、自然界に多く見られる六角形を基調とし、イモムシのような姿の両端がつながり無限を示す輪となっている。六角形は雪の結晶や昆虫の複眼、蜂の巣、土星の北極など極小から惑星規模まで現れる自然の形であり、途切れない輪は自然界の循環も象徴し、向かい合う二つの顔は「同時に存在する異なる感情」を示唆しているという。
芝生エリアでは、自然、宇宙、生態系などから着想を得ているという高さ15センチ~35センチのシルバーブロンズ像作品群「Hexenringe」「Anstrato’s」「Ring of Saturn」をそれぞれ7点ずつサークル状に展示している。
幼いころからアメリカなどの漫画に影響を受けたというモーリスさん。日本に住む現在は、宮崎駿監督作品など日本のアニメや漫画から想像力を刺激されることもあるという。
モーリスさんによるパブリックアート展示(17時~21時)は11月7日まで。「Otemachi One Garden」では、10月3日までと、10月27日~10月31日の平日、キッチンカー出店と音楽ライブ企画「大手町で、MUSIC BAR。」(17時~21時)を行う。