日本橋兜町周辺のランチ事情に異変が起きた。東京証券取引所(中央区日本橋兜町2)が昨年11月21日、取引時間を変更したことが原因と見られる。
市場活性化策の一環として、東証は現物株式の午前の取引を従来の11時から11時30分まで延長。昼休みが1時間30分から1時間に短縮した。これに伴い、取引所に集まる関係者のランチの取り方が変わり、近隣の飲食店にも影響が出ている。
「人の動きが確実に変化した」と話すのは取引所近くのうなぎ専門店店主。「今までは11時から13時過ぎまで平均的に客があったが、取引時間変更後は、午前の終了時間に合わせて、いちどきに集中的に来てそのまま引けてしまう。総客数では間違いなく減っていると思う」と戸惑いを隠せない。コーヒーショップ店員からは「混雑する時間帯にお客さんが集中する。時間を気にしてか、そそくさと帰られるお客さんが多いように感じる」という声も。
兜町でデザイン事務所を営む男性は「証券関係以外の人は11時30分前に昼食を済ませないと混雑に巻き込まれることになる」と話す。「街角を見ていても、どこかセカセカと急いだ感じに見える」とも。
取引時間の変更は、香港取引所の取引時間や中国の主要経済指数の発表時間と重なるなどで国内外の経済に影響を与えたようだが、同時に地元の日々の経済にも変化をもたらしたようだ。