東京メトロ人形町駅近くに7月6日、「ゆかた博物館」(中央区日本橋人形町3、TEL 03-3661-8859)がオープンした。
1894(明治27)年創業の浴衣製造卸「三勝」が手掛ける同館。「伝統的な技術やモノに多くの人が触れ、浴衣の素晴らしさを知ってもらいたい」と、同社が保存していた浴衣生地や図案、染色用の道具や各時代の広告、雑誌などを展示する。フロア面積は33平方メートル。
館長の清水敬三郎さん(80)は、同社の専属職人で人間国宝だった清水幸太郎さんの三男。父に続いて同社に入社以来、工場への生産指示と小売りとの商談の両方を手掛け、一貫して生産と販売の現場をつなぐ役割を果たしてきた。
開館記念特別展示は清水さん親子をテーマに開催。明治から平成までの浴衣の歴史を紹介する。生地の両面に型を付け、細かな柄を継ぎ目なく染め上げる染色技術「長板中形(ながいたちゅうがた)」を用いた明治時代の作品から、日露戦争を風刺した柄の生地、今夏、横綱白鵬が着用している浴衣まで幅広く展示する。
「浴衣は昔から、夕涼み、寝巻、最後は赤ん坊のおしめになるまで着つぶすのが当たり前」と敬三郎さん。「戦災で焼失した会社が多い中、保存状態が良い浴衣がこれだけそろっていること自体がとても貴重」と胸を張る。
見学は15時~と16時~の2部制で、スタッフが説明を行う。事前予約制。入館無料。土曜・日曜休館。