日本橋の老舗扇子店「伊場仙」(中央区日本橋小舟町4、TEL 03-3664-9261)本社エントランスに「浮世絵ミュージアム」がオープンして2カ月がたった。
7月25日からアーティスト・照紗さんの作品展「傾乙女恋絵巻」が始まる。
1590年創業の同社は、江戸後期に浮世絵うちわの取り扱いを始め、初代歌川豊国や国芳、広重らの作品の版元としても知られる。同館では、同社が出版した浮世絵や版木などの道具類、うちわ絵の複製のほか、古典芸能・文化をテーマとした現代作家の作品を展示する。「浮世絵や歌舞伎は本来、庶民の娯楽文化。もっと気軽に楽しんでもらいたい」と同社の吉田誠男社長。
展示面積は7.2平方メートル。中央区が推進する、地域の歴史や文化の助成活動「まちかど展示館事業」の一環として開いた。開館以来、イラストレーター・瀬谷昌夫さんの浮世絵展「平成江戸百景」とジュエリープロデューサー・那須勲さんの蒔絵展も開催。来館者の評判は上々で、近隣のオフィスワーカーや買い物客らにも浸透してきたという。
7月25日には、アーティスト・照紗さんの作品展「傾乙女恋絵巻(かぶきおとめこいえまき)」が始まる。照紗さんは、歌舞伎に登場する恋する乙女たちが持つ時代を越えても変わらない思いをテーマに、イラストレーションやグラフィックアートなど様々な手法で表現。8月にはその活動がイギリスBBCワールドニュースのアート番組でも紹介される予定で、海外でも活躍する。今回は、日舞「蝶の道行」を元にデザインした浴衣と芝居仕立ての写真作品をメインに展示。「普段の活動拠点は渋谷や原宿、新宿が多い。歴史と伝統の街である日本橋で作品を発表できてうれしい」と照紗さん。「老舗の版元で、私の描く新しい浮世絵を見てもらえれば」とも。8月20日まで。
開館時間は、月曜~金曜=8時~20時、土曜=11時~17時。日曜・祝日休館。入館無料。