日本橋の扇子とうちわの老舗「伊場仙」(中央区日本橋小舟町4、TEL 03-3664-9261)が7月15日、クラウドソーシングで秋冬商品アイデアの公募を始めた。
うちわ・扇子の老舗「伊場仙」、創業424年目の秋冬商品アイデアを募集
1590(天正18)年創業の同社。当初は和紙・竹製品を扱い、江戸後期からは「うちわ浮世絵」を販売し、当時の人気絵師・歌川豊國、国芳、広重などの浮世絵版元として江戸に名を広めた歴史を持つ。かつて床の間に飾る「飾扇」や、炊事や暖をとる「火おこしうちわ」など、年間を通じて需要があった扇子やうちわは、現在、生活様式の変化によって、売れ行きは夏場だけに集中。戦後、秋冬の需要が激減したという。
これまで、カレンダーやバブル時代にはディスコで踊る際の羽扇子を製造するなど、工夫を凝らしてきたが、定番事業に育たず、「お盆を過ぎると大きく売り上げが落ちる」と頭を悩ませてきた。
そこで今回、インターネットで仕事の受発注ができるクラウドソーシングサイト「クラウドワークス」を利用し、不特定多数の人に秋冬商品のアイデアを募るコンペの開催を決めた。創業400年を超える老舗企業が近年注目を集めるクラウドソーシングを活用することについて、同社社長の吉田誠男さんは「新しいことにチャレンジし続けなければ、生き残れない。どんなアイデアが集まるのか、とても楽しみ」と期待を寄せる。
募集するのは、アートや和のセンスを理解する男女や外国人観光客をターゲットに、秋冬に売り上げが期待でき、江戸や粋を感じさせながらも現代のライフスタイルに合った商品のアイデア。採用案は実際に商品化することを検討し、報酬金額32,400円を支払う。募集開始から半日で、既に80以上の提案が集まっているという。
応募は7月22日まで。