日本橋室町の三重テラスで12月18日、「クール三重トークライブ」が行われた。鈴木英敬知事がホストとなり、さまざまなゲストに話を聞く同イベント。今回はロボットデザイナーの松井龍哉さんを迎えてロボット談義に花が咲いた。
松井さんが代表を務める「フラワー・ロボティクス」が製作する「Patin」(パタン)は、フランス語でスケートの意味。AI搭載の自走式ロボット・プラットホームで、家電やインテリアメーカーなど既存分野と協働してロボット開発のハードルを下げ、家庭用ロボット普及の促進を図る。自走する照明や植栽など、身の回りのものが日々の人間の活動を学習し、経験を積み重ねて最適な動きをするように成長していく。
人間の生理的な動きと機械が親和性を持ち始めており、素材やテクノロジーも含めてロボット技術が人間を柔らかく包んで守っていくようになり、障がい者や高齢者が社会復帰する場合や社会とのつながりの機会として期待されているという。
昨年初めて伊勢神宮を参拝し、その設計思想や20年に1度建て替えをするという式年遷宮というシステムに、ロボット開発の多くのインスピレーションを得たという松井さん。「個々がつながり、それぞれの役割を果たして目標を達成する日本的な和の考え方が、これからのロボット設計思想にも通じる」と語る。「原発のような重厚長大技術を信奉する社会から、シンプルでも自立・分散・協調する個が機能しながら集団を作り上げていくことが主流になる」とも。
伊勢神宮の宝物館に「現代の宝物」として、松井さんが設計するロボットが奉納されることが決まっており、現在そのシステムを考案中だという。