日本橋室町の福徳神社横に9月、鎮守の森「福徳の森」が完成した。施工主は三井不動産(中央区日本橋室町2)。
860~867年(貞観年間)にはすでに同地に鎮座していたと伝えられる同神社。徳川家康が江戸入府後すぐに参詣し、2代将軍秀忠参詣の折に鳥居から若芽が出ていたことから「芽吹神社」の別名も持つ。福徳の社名が縁起が良いということで徳川幕府の保護を受け、江戸城下では数少ない富くじ勧請(かんじょう)を許された神社で、今も宝くじ片手にお参りする参拝者が少なくない。
「福徳の森」の面積は約1000平方メートル。神社と一体となった広場として、近隣のオフィスワーカーや来街者に憩いとにぎわいの場を提供する。広場には「くすりのまち」日本橋本町の象徴で、毎年10月の例大祭ではお汁粉の振る舞いで地元に親しまれている「薬祖神社」も、東京薬事協会内から移転。軽飲食も提供する「芽吹茶屋」も新規開店した。
広場中央にはイベントなどに利用可能なステージを設け、回りを囲む桜や紅葉などで、街の中で季節の移ろいを感じる緑陰スペースを創り出している。
ステージ両サイドの大型モニターには、文化年間の日本橋の様子を描いた「煕代勝覧」をデジタル画像で現代風にアレンジした「当代 煕代勝覧」と、日本橋学区の200人の小学生が描いた「未来の日本橋に欲しいもの」の絵で制作した「未来 煕代勝覧」を映し出す。
9月28日に行われた「鎮守の森開設セレモニー」には日本橋のイメージキャラクターを務める女優の蒼井優さんが着物姿で登場。絵を提供した常盤小学校の生徒たちと共に大型モニターに見入っていた。「都会の真ん中にすてきな鎮守の森ができた。公園が好きなので、近くに住んでいたら毎日来てしまいそう」と蒼井さん。「日本橋は伝統と昔からの日本の思いが伝わる土地。大好きな街で、よく一人で訪れている。街で見掛けたら声を掛けてほしい」と話していた。