日本橋蛎殻町の銅版画美術館「ミュゼ浜口陽三ヤマサコレクション」(中央区日本橋蛎殻町1)で6月12日、モノクロームメゾチント技法を使って製版からすりまでを行う初心者向けの銅版画体験教室が行われた。
メゾチントとは、版画技法用語でスクレーパーという金属で銅版を削る金属凹版技法の一種。削る度合いを加減することで、さまざまな段階に明暗を調節することができ、段階的な濃淡と黒の深みがこの技法の特徴。同館に作品が展示されている銅版画家・浜口陽三氏は、カラーを重ねてする「カラーメゾチント」の技法を開発し、メゾチント技法を発展させたことで知られている。
同教室では、参加者各自が好きな絵柄を選び、1時間ほどかけてポストカード大の作品に取り組む。作業中、講師の江本創さんが各テーブルを回り指導を行った。作業が始まると参加者は黙々と作品づくりに集中し、完成後は互いに作品を見せ合い歓声や笑顔がこぼれた。「版画はすり上るまで仕上がりがわからない。プレスして紙をはがすときのドキドキが楽しい」と江本さん。
受講者は「ここの美術館が好きで、作品がどうやってできるのか興味があった。何度か足を運んでいるうちに自分でもやりたくなった」「銅版画と聞くと難しいイメージがあったが集中できて楽しかった。幻想的な仕上がりに驚いた」などと感想を残した。
次回の銅版画体験教室(初心者向け)は7月31日14時~17時に開催。申し込みは、往復はがきで受け付けている(7月20日必着)。