老舗つまようじ専門店「さるや」(中央区日本橋小網町、TEL 03-3666-3906)が今年も、毎年恒例の「干支(えと)ようじ」を販売している。
江戸中期の1704年にようじ専門店として開業した同店。当時、ようじは「ようじ見世」と呼ばれる専門店の店先で手作りして販売されており、文化末期には浅草寺の境内だけで249軒もの専門店が軒を連ねるほど庶民に普及していた。中でも、「さるや」の名は店の屋号として多く使われ、何軒もの「さるや」が存在し、看板にはサルの絵があしらわれたというが、現在は同社だけが残り、世界唯一のようじ専門店として営業する。
同社のようじはクロモジの木を使用しており、「黒文字ようじ」と呼ばれる。クロモジとは、北海道から九州まで日本全土に自生し、ナンテンに似た黒い実をつけるクスノキ科の樹木。ようじに使うのは、背丈1メートル、直径わずか1センチの若木のみ。手で細かく割ったうえ、切り出し小刀で細く細く削り、手作業でようじにしていく。熟練の職人でも1日に2,000本しか作ることができない、繊細な作業。黒文字ようじは店主自ら「金千両」と墨書きした桐箱に入れて販売している。
今回、売り出した「干支ようじ」(20本入り、997円)は、来年の干支である「卯(ウサギ)」の絵があしらわれた桐箱入り。毎年恒例の商品で、年賀用として楽しみにする人も多いという。
営業時間は9時~17時。日曜・祝日休み。