
遠隔操作型ロボット「OriHime(オリヒメ)」を活用した観光体験企画「OriHime日本橋ガイドツアー」が9月11日、日本橋エリアで始まった。運営は、三井不動産(中央区日本橋室町)、オリィ研究所(日本橋本町)。
「OriHime」は、遠隔地にいる操作者(パイロット)がロボットを介してその場に「分身」のように存在し、会話やしぐさを交えながらリアルタイムで交流できるのが特徴。オリィ研究所が「人類の孤独を解消する」との理念を掲げ、病気、障害、介護、子育てなどで外出が難しい「移動困難者」の社会参加を支えようと開発した。
同ツアーは、参加者が特注のリュックサックに搭載した「OriHime」を肩に背負い、パイロットと視点を共有しながら日本橋の街歩きを楽しむ。出発地は同研究所が運営する「分身ロボットカフェ DAWN(ドーン) ver.β」で、福徳神社(中央区日本橋室町)、小津和紙(同本町)、箔座日本橋(室町)、刃物店「木屋」(室町)、ブラシの老舗「江戸屋」(大伝馬町)などを巡る。所要時間は約1時間。
ガイドを務めるのは6人のパイロット。秋田県在住のAKANE(アカネ)さんは、長時間の立位が難しいため自宅からベッドに横になった状態で操作する。カフェでの接客業経験を経て、オリィ研究所の人材紹介サービス「FLEMEE(フレミー)」を通じて転職した。普段はフルリモートで社長秘書を本業としながら、観光ガイドを行う。「大学時代は旅行が好きで添乗員を志したこともあった。寝たきりになってからは考えもしなかったが、今は街を見て回れることにワクワクしている」とAKANEさん。
オリィ研究所は2021年、「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」を開設。当初10人だったパイロットは現在、約100人に増えた。店内では、据え置き型「OriHime」や自走型「OriHime-D」、遠隔操作でコーヒーを入れる「テレバリスタ」が活躍する。
同研究所代表の吉藤健太朗さんは「私たちは誰しも年をとり、やがて身体が不自由になる。自分が寝たきりになることを考えたことはあるか」と話す。「国内の『移動困難者』は3400万人に上る。今の社会は人々が動けることを前提にデザインされている。私たちは、距離、身体障害、家庭の事情に左右されず『出かけることができる街』を実現したい。日本橋を、誰もが訪れ、関わり続けられる街にしていきたい」と意気込む。
ツアーの最小催行人数は2人。参加費は、大人1人=3,300円、4~11歳=2,200円、3歳以下無料。事前予約制。「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」公式サイトで受け付ける。