東京消防庁消防学校(渋谷区)で10月8日、第41回東京都消防操法大会が開催され、可搬ポンプ操法の部で「日本橋消防団」が優勝した。
消防団は消防組織法に基づいて各市町村に設置される消防機関。団員は非常勤の特別職地方公務員に当たるが、通常は他に職業を持つ一般市民がほぼボランティアとして参加している。火災をはじめとした災害発生時には消防本部とともに消防業務に携わるほか、地元の防災活動に取り組む。現在、都内98団、中央区内3団が活動している。
消防操法とは、ポンプの吸管を水槽に入れ、50メートル先の目標(火点)に向けて放水する、火事を想定した作業。大会では定型動作の正確さを判定する行動点とタイムの総合点を競う。可搬ポンプ操法の部は荷車に載った小型のポンプを使い、選手4人、指揮者1人、補助1人の1チーム6人編成で行う。
都大会は年1回開催され、各回14団体が競い合う。出場は持ち回りのため、日本橋の出場は4年ぶり。選抜メンバーは出場が決まった4月後半から週3回以上、計100回以上の練習に励んできた。「ポンプ操法の機敏な動作には様式美がある。その再現が一番難しい」とメンバーの塚田秀伸さん。当日はタイムでは他チームより劣ったものの、行動点の高さで他を圧倒し、20年ぶりの優勝を飾った。「日本橋は江戸火消しの血統を受け継ぐ地域でプライドもある。今回の優勝は、メンバー以上に地域の人が喜んでくれている」という。18日には中央区長への優勝報告も行った。
日本橋消防団には現在、10~70代の在住・在勤者150人が在籍する。「東日本大震災発生時は、日本橋でも徒歩で帰宅する人の誘導や情報提供などのサポートを行った」と塚田さんは振り返る。「今後、さらに大きな災害を想定し、そのとき消防団に何ができるのかを考えたい。地域に貢献したいと考える人は地元の消防団員に志願してもらえれば」とも。