プレスリリース

アニコム損保・アニコム先進医療研究所と手術支援ロボットのリバーフィールド、 獣医療および人類のさらなる進化に向けた共同研究開発契約を締結

リリース発行企業:アニコム損害保険株式会社

情報提供:

アニコム損害保険株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役 野田 真吾、以下 アニコム損保)およびアニコム先進医療研究所株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 堀江 亮、以下 アニコム先進医療研究所)は、リバーフィールド株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 只野 耕太郎、以下 リバーフィールド)と、医療ロボットの設計および製造、またこれらの過程で生じるAIを用いた知的財産の創出等を目的とした共同研究開発契約を、2025年2月6日付で締結しましたことをお知らせいたします。



1.動物用手術支援ロボット開発の意義
私たちが愛してやまない「私たちの心の発電所」ともいえるどうぶつに、できる限り最良・最高の治療を受けさせてあげたい。そして、1日でも長くずっと一緒にいたい。それがどうぶつを愛する私たちの願いです。
その願いを叶えるべく、世界的にも先進的かつ独自の技術力、そして知財等を併せ持つ三社が、獣医療における手術支援用ロボットの開発・提供に向けた提携を行い、日本から世界に革新を届けてまいります。
これまでアニコム損保では、ペット業界のインフラカンパニーとして、ペット保険の提供を通じて日本の獣医療を支えてまいりました。またアニコム先進医療研究所では、予防医療から二次診療までを含む全国58ヶ所のグループ動物病院を運営するとともに、再生医療を中心とした高度獣医療の普及によって「治らない病気を治す」ための取り組みを進めてまいりました。
一方リバーフィールドは、2003年より旧東京工業大学と旧東京医科歯科大学(ともに現東京科学大学)を中心とした研究室でのロボット開発研究を通じて、2014年に起業した国立大学発ベンチャー企業です。世界で初めて、「力覚」を再現することに成功したヒト用低侵襲外科手術用支援ロボット『Saroa(サロア)(*1)』を開発し、薬事承認を取得しております。

*1 Saroa(サロア): 空気圧超精密制御技術を活かした世界初の空気圧駆動型手術支援ロボット。空気圧駆動技術により、手術に使用する鉗子にかかる力を検出し、執刀医に触覚(力覚)のフィードバックが可能。力覚を有することにより、自分の手で直接手術しているような感覚が得られ、手術の精度の高度化が期待される。
2.アニコムグループにて導入予定の手術支援ロボット「TSURU」(仮称)
リバーフィールド製の手術支援ロボット『Saroa』を獣医療用にカスタマイズしたものを、アニコム先進医療研究所の動物病院にて導入いたします。ロボットの名称は「TSURU」とする予定です(2025年1月に商標出願中)。
日本では古くから愛される鳥である鶴は、海外でも長寿や健康の象徴とされています。また西洋においては優雅さや気高さの象徴として、貴族の紋章や装飾のモチーフに採用されています。
わが子に健康で長生きしてほしいという全ての飼い主様の思いを乗せ、日本の獣医療が世界に向けて鶴のように羽ばたいていくことを祈念して、この名称を予定しています。





3.「日本が誇る力覚フィードバック技術」について
日本の医療技術は、その手術手技の精度や術者の経験において高い水準にあり、多くの国際的な評価を受けています。特に、日本のペットは小型の個体が多いため、日本の獣医療では世界でも類を見ない繊細かつ高度な技術が研ぎ澄まされてきました。この繊細かつ高度な技術を最大限に活かせる「力覚フィードバック技術」のさらなる発展を促進することで、日本から、世界の医療発展を加速させてまいります。
さらに、力覚フィードバック技術は幅広い応用が期待されることから、さらなる応用可能性を探求し、新たな分野への展開を推進します。
4.保険業の健全性を阻害する要因のひとつである獣医療費の高騰等への対応として
(1)一般に、医療保険の健全性を阻害する最大の要因のひとつとして、「医療費の高騰や、リスク濃縮(*2)」が挙げられますが、これはペット保険においても例外ではありません
*2 リスク濃縮とは、契約者が自身やペットの健康状態を保険会社よりも詳細に把握していることから、疾患リスクを強く認識している契約者ほど選択的に保険に加入しやすく、結果として全体のリスクが偏る現象を指します(いわゆる逆選択)。
(特にペットの場合、虚弱な個体ほど医療費負担を考慮して保険に加入・継続する傾向があるため、リスク濃縮が生じやすい点に注意が必要です。このようなリスク濃縮の影響を抑えるためには、健康状態に応じたより公平な保険料設計や、健康管理を促進するインセンティブ制度の導入が重要となります。)
(2)これらの課題に対し、以下の取り組みが重要であると考えます
1.医療費高騰の主な要因となる「高度な手術等」の技術開発への参画
手術技術等の開発に積極的に関与し、手術の効率化・標準化を推進することで、不必要な医療費の増加を抑制します。これにより、医療費の過度な高騰を防ぐことに貢献します。

2.疾患の「発症・進行・悪化」を予防するアプローチの推進疾患の発症原因である「免疫の低下」や「疾患の真の原因」を解明し、疾患自体の発症・進行・悪化を予防する取り組みを強化します。
(3)免疫の一部の可視化(数値化)や、高額手術に繋がりやすい弁膜症等の予防や早期発見を促進する取り組みについて
1.免疫の一部の可視化(数値化)に成功
i腸内細菌叢の多様性が免疫機能に関与することは既に知られていますが、客観的な評価や数値化は十分に確立されていません。
ii腸内細菌叢の多様性低下は、一般的に、各種疾患の発症リスクを高める可能性がある一方で、疾患の進行や抗生物質の使用が腸内細菌叢の多様性の低下を引き起こす可能性もあります。
iii当社グループの研究により、犬において腸内細菌叢の多様性低下と傷病発生との間に、0~11歳までのすべての年齢群において統計的有意差が確認されました(0~6歳についてはp < 0.001と、極めて高い水準の有意差が確認されました)。
多様な交絡因子が存在するものの、腸内細菌叢の多様性を診断・治療・予防の重要な指標として活用することは、実務上極めて有益であると考えています。

2.ペット保険における最大の保険金支払い疾患である弁膜症との関連性も明らかとなった
i弁膜症の治療には手術・薬剤投与が行われますが、いずれも高額であり、弁膜症がペット保険における保険金支払いにおいて最大割合を占めています。
ii弁膜症は遺伝、加齢(酸化ストレスの影響)、細菌感染などが原因とされていますが、特に加齢が強く関与する疾患です。
iii腸内細菌叢の多様性低下と弁膜症の有病率との間においても、6歳以上の犬において、統計的に有意な関連が確認されました。
ivこちらも多様な交絡因子も存在するものの、腸内細菌叢の多様性低下は、弁膜症のリスク評価においても活用できる可能性があり、さらに疾患予防や進行抑制のための指標になると考えています。
v早期発見による適切な治療や、手術適否の判断をより精緻に行うことで、ロボット支援手術の推進とあわせ、保険業のさらなる健全性向上に努めてまいります。

(腸内細菌叢の多様性低下や歯周病関連菌など、特定の細菌を検出し、各種疾患リスクを判定する技術について、特許を出願中です)

(3)1.iii・(2)iiiについて、詳しくはこちら

獣医療においては、犬種ごとの遺伝的差異や体格差が大きく、AIを活用した個別最適化の余地が十分にあります。そのため、遺伝子や食事等の生活習慣、腸内細菌叢等を含むビッグデータを活用し、広範な個体差に対応する技術の開発に取り組んでまいります。さらに、各ペットに適した予防行動や治療計画の策定をサポートすることで、獣医療の発展と保険事業の健全性向上に貢献してまいります。
5.各社概要
■アニコム損害保険株式会社
https://www.anicom-sompo.co.jp/
・代表取締役:野田 真吾
・所在地:東京都新宿区西新宿8-17-1 住友不動産新宿グランドタワー39階
・事業内容:損害保険業(ペット保険)
・設立日:2008年1月10日
・資本金:6,550百万円
・社員数:509名(2024年3月現在)

■アニコム先進医療研究所株式会社
https://www.anicom-med.co.jp/
・代表取締役社長:堀江 亮
・所在地:東京都新宿区西新宿8-17-1 住友不動産新宿グランドタワー39階
・事業内容:動物医療機関経営、動物医療に関する調査・研究・臨床検査およびその受託等
・設立日:2014年1月24日
・資本金:50百万円

■リバーフィールド株式会社
https://www.riverfieldinc.com/
・代表取締役社長:只野 耕太郎
・所在地:東京都港区赤坂8-1-22 NMF青山一丁目ビル4F
・事業内容:手術支援ロボット等の医療機器研究開発および販売
・設立日:2014年5月20日
・資本金:100百万円
・社員数:61名(2024年9月現在)

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