日本橋川で5月30日、ボートで川を巡りながら都市の音環境とカンツォーネの調べを楽しむイベント「日本橋・名橋たちの音を聴く~川面からカンツォーネと都市の音環境を味わう舟旅」が開催された。主催は都市楽師プロジェクトで、5月24日より実施されている建物一斉公開イベント「オープン・アーキテクチャ 2010」の一環。
約30人乗りのボートで常盤橋防災船着場を出発し、日本橋川を東へ下って常盤橋、一石橋、西河岸橋、日本橋、江戸橋をくぐった後、西へと引き返すルート。青山学院大学教授でサウンドスケープ(音風景)研究家の鳥越けい子さんが、街並みやそれぞれの橋や川べりの特徴、舟の上や橋の下で聴くことができる街の音についての解説を行った。
日本橋地区は首都高の高架が頭上を交差しており交通量が多いが、川面の舟で目を閉じれば、自動車の走行音に混じって鳥の声や水の音が届く。参加者は、橋の下で生まれる音のこだまなどを体験した。
解説の合間、同乗した声楽家の辻康介さんが1600年代のイタリア音楽やカンツォーネを高らかに熱唱。参加者だけでなく橋を行き交う人々も足を止め、歌声に聴き入ったり、ボートに向けて手を振ったりした。
都市楽師プロジェクトは「その場らしさを際立たせる音楽」というアプローチで、音楽とともに街や建築の魅力を発見する試み。中世からルネサンス期にかけて、ヨーロッパの各都市で塔から時を告げるラッパを吹いたり、祝祭や行列などのイベントで演奏したり、「街の必要に応じて」活躍した音楽家である「都市楽師」を現代日本に甦らせるというコンセプトで活動を行っている。