東京駅八重洲南口近くにある福島県八重洲観光交流館(中央区八重洲2、TEL 03-3275-0855)は震災後の現在も、休むことなく営業を続けている。
東日本大震災で多数の死者・行方不明者を出し、福島第一原発の近隣住民に避難指示が出るなど大きく被災した福島県。同館は東京における福島県の観光PRを目的に一昨年7月にオープンしたが、地震発生後、館内に同県災害対策本部からの情報を掲載するなど在京出身者に向けた情報発信拠点としての役割も果たしている。
同館が普段取り扱っている商品は約300種類。震災の影響で物流が停止し、「商品数が一時4分の1程度になったが、会津からの入荷が再開し、少しずつ回復してきている」と同館館長の鈴木裕さん。一方、浜通りの商品の入荷はいまだ見込みが立たない。
同館に勤めるスタッフは福島出身か福島にゆかりを持つ7人。全員、家族の無事を確認できたものの、故郷に対して切ない思いを募らせている。「自分たちは本来福島の人間なのに、こうして東京にいることが申し訳ない」と鈴木さん。「せめて、東京でお客さんに憩いや情報を提供していきたい」と決意をみせる。
オフィス街にある同館には、会津の地酒を買って行く男性や昼休みに菓子を買っていく女性の来店が多い。「地震後も、お客さんの数は1日500人前後で減っていない。情報収集や義援金のためだけに来る人も少なくなく、中には、何も言わず義援金だけ寄付して去っていく人もいる」といい、20日までの9日間で148万円の寄付が集まった。「何も買わなくても、店の奥の休憩スペースで少しのんびりするだけでもいいので、とにかく来店してほしい」と鈴木さん。
営業時間は10時~19時。