人形町で「アンリアレイジ」デザイナーがトークイベント-洋服作りへの思い語る

「アンリアレイジ」2009春夏コレクション「○△□」。人体型ではない立体に合わせて作られた服も、人が普通に着ることができる。

「アンリアレイジ」2009春夏コレクション「○△□」。人体型ではない立体に合わせて作られた服も、人が普通に着ることができる。

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 人形町交差点近くのカフェ「オムチャントーン」(中央区日本橋富沢町4)で7月10日、カジュアルファッションブランド「ANREALAGE(アンリアレイジ)」のデザイナー森永邦彦さんをゲストに迎えたトークイベント「虚構のラボラトリ#2 服との距離」が行われた。

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 「日常(リアリティー)」「非日常(アンリアリティー)」「時代(エイジ)」の3つのワードを組み合わせて名付けられたアンリアレイジは、森永さんが2003年に立ち上げたブランド。2005年にニューヨークで開催された新人デザイナーコンテスト「GEN ART 2005」でアバンギャルド大賞を受賞、2006年に東京コレクションでランウェイデビューして以降、毎シーズン、斬新でディティールにこだわったコレクションを発表し続けている。

 イベントは、ギャラリー「P2G」(千代田区)を主宰するかばん作家・カガリユウスケさんが企画した。同店オーナーと親しいカガリさんが、もともと使われていなかった3階スペースを今年4月からギャラリー「P2G第2実験室」として活用し、カガリさんが選んだ作品の展示・販売やイベントを行うようになった。森永さんをゲストに招いたのは、カガリさんが以前から「話を聞いてみたかった」から。当日は、カガリさんがインタビュアーとなり、これまでの各コレクションの映像を見ながら森永さんがショーの狙いやエピソードなどを解説した。

 花柄の端切れをパッチワークした花柄ジャケットや、5,000個以上のボタンを手作業で飾りつけたスーツなど、「神は細部に宿る」という同ブランドのコンセプトを体現したような作品の数々や、史上初めて東京タワー大展望台を会場にしたり、階段状の舞台をひな壇に見立て、色とりどりの衣装を着たモデルをひな人形のように正座させたりするなど、過去のユニークなショーを紹介。また、「人体を原型としない服づくり」として、球体、三角すい、立方体という3つの立体に着せる服や、通常は「フロント」と「バック」しかデザインされない洋服のスタイルに「サイド」を加えた三面図を用いるなど、豊かな発想で、時に笑いを生み出すようなインスタレーション(空間展示)についても、その制作プロセスなどとともに紹介した。

 「ファッションのいいところは、人と違っていることが認められること」と話す森永さん。早稲田大学社会科学部在学中に趣味で服作りを始め、ファッションの専門学校には週2回、夜間に通った。「学校で学ぶ以前は、古着を分解して服を作っていた。それまでの自分の服作りと学校で学んだファッションの常識は違っていて、そこに疑問を持っていたことが現在の創作に生かされている。洋服は、こうあるべきというものが多くて価値観が狭い。誰もが洋服を着ているのに、ファッションは一部の人間のものでしかないことにモヤモヤする。築き上げたものを壊すようなかたちで、洋服をもっと人をドキドキさせるようなものにしていきたい」と思いを語る。

 一方、「パッと見に奇抜な表現でも、アンリアレイジの洋服はしっかり作られていることに驚く」とカガリさんが指摘すると、「ビジネスとして成り立つことは重要。造形としてだけではなく、人が日常に着られることにこだわっている」と森永さん。さらに、「アイデアをかたちにするスタッフ力が強み」とも。「スタッフにアイデアを伝える時は、まずメールで送ることにしている。文面で伝えられるくらいシンプルで分かりやすいコンセプトのものでなければ、成功しないと思う」と話した。

 同イベントには、20~30代のファッション関係者や学生、同ブランドのファンなど20人余りが参加した。会場となった同店3階では今月17日まで、同ブランドの作品を展示・販売する。

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