「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション」(中央区日本橋蛎殻町1)で5月18日、「秘密の湖」展が始まった。
所蔵コレクションを通して、銅版画と銅版画家・浜口陽三の魅力を伝える同館。同展では、浜口陽三の版画作品と3人の現代作家の作品47点を展示する。同館が現代美術を紹介するのは今回が初めて。
参加したのは、現代美術作家・池内晶子さん、福田尚代さん、三宅砂織さん。「3人の新しい感性で前進する姿勢が、独自の銅版画技法『カラーメゾチント』を開拓した浜口陽三の精神に重なる」と同館学芸員の神林菜穂子さん。
「秘密の湖」のコンセプトに合わせ、浜口作品は「少し神秘的でモダン」なものを選んだ。3人の作家の作品は全て同展に合わせた新作となる。池内さんは、絹糸を用いて微妙な心の動きを表現するインスタレーションなどを制作。福田さんは、本のしおりひもを材料に制作した「書物の魂/はるかな島」や、色鉛筆の芯に彫刻を施した「煙の骨」など8点、三宅さんは、カメラを用いず、印画紙に写真とデッサンを重ねて感光する「フォトグラム」技法の作品13点を発表する。
240平方メートルのスペースに、作家ごとに区切りを設けず作品を展示。版画の質感を見せるために使う、ほの暗いハロゲンライトの明かりが神秘性を与えるのに役立ち、1階は「湖の入り口」、地下は「湖の底」のような空間に仕上げた。「4人の作品はそれぞれが異なり、響き合うところもある。見る人には、作品に内面を重ねてもらいたい」と神林さん。
会期中、出品作家によるトークショーを開く。定員は各回60人。事前予約制。
営業時間は11時~17時(土曜・日曜・祝日は10時~)。月曜休館(7月15日は開館)。7月14日・16日は15時で閉館する。入館料は、大人=600円、大学生・高校生=400円、中学生以下無料。8月11日まで。