日本橋の扇子とうちわの老舗「伊場仙」(中央区日本橋小舟町4、TEL 03-3664-9261)が4月22日、クラウドソーシングで富裕層向けの高級扇子ブランドのデザイン公募を開始した。
同社は1590(天正18)年創業当初は和紙や竹製品を取り扱う御用商人だったが、江戸後期から「うちわ浮世絵」の販売を始め、当時一世を風靡(ふうび)した人気絵師・歌川豊国や国芳、広重らを起用し、浮世絵の版元として名をはせた。クラウドソーシングが急速に拡大し始めた3年ほど前から商品アイデアやデザイン公募などで活用してきた。
「版元は今でいう出版プロデューサー。実際に製作するのは下絵師や彫師、摺師などの職人たちで、版元は彼らにアウトソーシングする。外部の力を借りるという意味で、クラウドソーシングは江戸時代からなじんだ手法」と14代目当主の吉田誠男さん。「新しい感性を積極的に取り入れたい。海外富裕層にも訴求するようなプレミアム感のある斬新なデザインを期待している」と意気込む。
募集するのは、同社本店、「伊勢丹新宿店」、「銀座三越」など限定で販売する高級ブランドの総合デザイン。30~50代の大人の女性をターゲットに柄や意匠など江戸の伝統要素を継承しつつ、モダンで洗練されたデザインに仕上げる。扇子や袋、パッケージも含めてデザインするなどいくつか条件がある。採用デザインは実際に商品化し、報酬金額20万円を支払う。
応募は5月5日まで。