日本橋三越本店(中央区日本橋1、TEL 03-3241-3311)1階中央ホールで2月15日、「あたらしい工芸 KOGEI Future Forward」展が始まった。
「おばあちゃんの着物作りが日本の伝統工芸との出会い」と篠原ともえさん
「工芸」は明治黎明(れいめい)期、英語の「CRAFT」という言葉に対応するために作られた言葉。その後明治から現代に至るまで、日本の「工芸」はさまざまな変化を遂げながらその芸術性を昇華させ、今日ではファインアートとして国内外で高い評価を得ている。
同展では、工芸をより自由な形で捉え、現代美術として作品を発表する作家15人をクローズアップし「工芸=KOGEI」を日本独自の芸術として世界に発信していく。2020年開催のオリンピック・パラリンピック基本方針推進調査として内閣官房オリ・パラ推進本部事務局の委託により三越伊勢丹グループが展開する。
会場には、スカル(骸骨)をモチーフにした青木克世さんの陶磁作品「予知夢XLII」やレディー・ガガさんも愛用していることで知られる舘鼻則孝さんの「ヒールレスシューズ」、16世紀長崎からローマに向かった天正遣欧少年使節団をモチーフにした3代目博多人形師中村信喬さんの「東士献刀」など、陶磁や漆器、牛革、ガラス、焼き物をはじめ螺鈿(らでん)、九谷焼など日本に伝わるさまざまな工芸技術を駆使した渾身(こんしん)の作品約30点が並ぶ。
15日に行われたオープニングイベントには、同展を監修した東京芸術大学教授で同大学美術館館長の秋元雄史さんと1990年代に「シノラー」として独自のカルチャーを築き、現在も多彩な表現活動を続け、昨年「全国きものコンクール」で京都府知事賞を受賞した篠原ともえさんが登壇した。
「近代国家の中で『アートと工芸』のように芸術と伝統が調和して残されている国は少ない」と秋元さん。「日本は江戸時代以降、洗練された伝統技術と文化を職人の手で残しながら進化させている珍しい国。工芸を通じて今に生きる今の文化を世界に発信してほしい」と話す。幼いころ、祖母がきものを作る姿を見ながら育ったという篠原さんは「おばあちゃんの着物作りが日本の伝統工芸との出合い。作品を身に着け、持ち歩くことで伝統を身近に感じることができるのが日本の工芸の魅力」と話していた。
18日14時~15時には秋元さんのトークショーを予定。19日13時~14時にも出品作家によるギャラリートークを用意する(いずれも入場無料、事前予約不要)。開催時間は10時30分~19時30分。今月20日まで。