人形町で8月7日、恒例の「人形町せともの市」が始まった。主催は蛎殻町や浜町の陶器問屋で構成する蛎浜会、せともの市実行委員会(TEL 03-3666-5666)。
今年で63回目となる同イベント。陶磁器の窯元や販売店などが集まり、人形町通り水天宮交差点から人形町交差点まで350メートルにわたる歩道の両側に約50店が並ぶ。
江戸時代から明治、大正、昭和にかけて日本橋には、魚河岸をはじめ、酒類、みそ、しょうゆ、穀物などの食品や竹や紙など生活物資を扱う河岸が集中していた。特に日本橋川と旧箱崎川に囲まれた「稲荷(とうかん)掘」周辺の人形町・蛎殻町・浜町一帯にはかつて60軒を超す陶磁器問屋が集積しており、陶器市が定期的に行われていたという。
戦後、問屋の数は減ったものの、かつての「せともの」の町として栄えた街の歴史を今に伝えようと1954(昭和29)年から年1回、在庫処分をかねて「せともの市」が行われるようになった。現在では全国からの出店者も増え、掘り出し物を探す客で夜までにぎわう。
販売される品は陶磁器以外にも、クリスタルや江戸切り子などのガラス、漆器などの食器類全般や台所用品など。高級セット品の半端もの、見切り品、処分品などを中心に、市価の3~5割引で販売する。
毎年値引き交渉を楽しみにしているという常連客の一人は「3日目が値切り時だが、今年は台風5号の影響で初日から値引きしている店も多い」と話す。
期間中、大観音寺前では「陶芸体験教室」(参加費1,500円)や「絵付け体験教室」(同1,000円)も行っている。
開催時間は10時~20時。今月9日まで。