幕末の志士の子孫による「長崎と幕末」トークショーが1月24日、日本橋長崎館で開催された。
今回、長崎館では初めての開催となる同トークショー。ステージには勝海舟の子孫にあたる高山(こうやま)みな子さんと坂本龍馬の子孫で郷士坂本家十代目の坂本匡弘さん、海援隊の強力な支援者として知られる長崎の文人小曾根乾堂の子孫の小曾根克秀さん・淳二さん兄弟、長崎県観光ブロガーで県観光振興課の岡村真理さんが登壇。会場には歴史ファン約30人が駆け付け、長崎の郷土菓子「桃カステラ」を食べながら登壇者の話に耳を傾けた。
トークショーでは高山さんが司会を務め、「坂本龍馬と勝海舟、温かい絆(海舟日記から)」と題し、1864(文久4)年2月の長崎訪問の旅を中心に各家に伝わる逸話や当時のエピソード、現在の長崎の魅力を紹介した。
高山さんは「長崎出張にわざわざ龍馬たちを同行させた海舟は、途中で横井小楠に龍馬を遣いに出すなど、弟子たちに多くの経験を積ませたかったのだろう。資料には、大柄な龍馬を海舟が柔術で投げ飛ばすなど当時の生き生きした様子が描かれていて、弟子たちがかわいくてしょうがない様子がよくわかる」と話す。「お酒が強そうに見える海舟だが、実はスイーツ男子で、長崎でチョコレートを食べていたという記録もある」とも。
会場には、西郷隆盛の本家直系5代目の西郷隆太郎さん夫妻と、榎本武揚の玄孫(やしゃご)の榎本隆一郎さんが駆け付け、幕末トークに参加。西郷さんは「勝海舟先生も西郷隆盛も酒は苦手だったようで、西郷家も代々下戸(げこ)が続いてきたが、自分は突然変異なのかお酒が大好き」と明かした。
小曾根克秀さんは「江戸後期の長崎は、西洋の学問や文化、科学技術などがひしめく最先端の場所。日本各地から遊学者たちが押し寄せ、幕末の偉人たちも長崎で学び、刺激を受け交流していたはず」と話す。「海援隊の屯所のあった小曾根邸の目の前は大型船が停泊できる桟橋で、裏山にグラバー邸がある。当時は本当に狭いエリアで交流していたようだが幕府の手も及ばない治外法権的な場所で、狙われることの多かった龍馬には都合がよかったのかもしれない。実際に長崎に来ていただくと、幕末当時のリアルな様子が手に取るように分かるのでは」とも。