日本橋人形町の末廣神社(中央区日本橋人形町2)で6月30日、「夏越の大祓(なごしのおおはらえ)」が行われる。
茅を抜いて持ち帰り、輪を作って家の入り口に挿すことで無病息災に
日本橋七福神の一つで、毘沙門天を祭る同神社。多聞天の異名を持つ毘沙門天は福徳(ふくとく)を授け、特に勝負事にご利益のある神として知られ、アスリートやスポーツ関係者の参拝も多いという。
江戸初期、周辺は「旧吉原」として栄え、末廣神社はその氏神として祭られていた。明暦の大火後、「吉原」は浅草に移設されるが、神社はこの地に残り現在も地域住民の信仰を集めている。
境内には、カヤ草で作った大きな輪「茅(ち)の輪」を設置。異界との結界という意味を持つ茅の輪をくぐることで、半年の間にたまった身の穢(けが)れをはらうもので、日本神話のスサノオノミコトと蘇民将来(そみんしょうらい)の話が由来となっている。
各地の神社で毎年6月と12月に行われるが、6月の茅の輪くぐりは「夏越(なごし)の大祓」と呼ばれ、「夏を無事に乗りきれるように」という願いが込められる。参拝者は、「水無月の夏越の祓(はらい)する人は、千歳(ちとせ)の命延(の)ぶというなり」と唱えながら茅の輪を3度くぐり、茅を抜いて持ち帰り、輪を作って家の入り口に挿すと無病息災につながるというとの言い伝えもある。
同神社では同日、「形代」と呼ばれる紙の人形に名前と生年月日を書き、その人形で体をなで清め、息を3回吹きかけることで罪やけがれを人形に移してみそぎを行う「大祓式」も行う。形代は30日17時まで受け付ける。
長年人形町に住んでいるという女性の一人は、茅の輪をくぐり、「今年は新型コロナで半年が明けたが、『夏越の払い』でコロナを払って無病息災で乗り切りたい」と話していた。