学ぶ・知る

霊岸島で「江戸湊の島々をめぐるツアー」 境界協会・小林さんがガイド

ツアー開催時には常に「ボーダー」シャツを着用しているという「境界協会」主宰の小林さん

ツアー開催時には常に「ボーダー」シャツを着用しているという「境界協会」主宰の小林さん

  • 22

  •  

 中央区新川の霊岸島からスタートする徒歩ツアー「江戸湊 (みなと)境界協会トワイライトツアー!~江戸湾の島々を、境界と地形で解き明かせ~」が7月2日、開催された。運営は「まいまい東京事務局」(京都市右京区)。

ガイド役は境界協会主宰

[広告]

 同ツアーのガイド役は、「境界協会」主宰の小林政能(せいのう)さん。小林さんは一般財団法人「日本地図センター」(目黒区)が出版する「月刊地図中心」の編集長が本業だが、地図教室や講演会、フィールドワーク企画などの活動をするうちに地図上の境界線に興味を持ち、2014(平成26)年に同協会を立ち上げた。

 小林さんによると、かつて水運都市「江戸」にとって運河や水路は生活に欠くことのできないインフラ。風光明媚(めいび)な水景は錦絵の素材としても数多く描かれてきたという。当日は18人の参加者が、現在は埋め立てられて地続きとなった霊岸島、石川島、佃島、月島、相生島、越中島などに江戸の面影を訪ね、地形や歴史を現在の景色に重ねて観察しながら徒歩で巡った。

 ツアーは、「八丁堀とは何なのか」という「問い」から始まり、まずは「与力・同心組邸跡」を散策。旧日本橋区と旧京橋区との区境(くざかい)や、水路を埋設した暗渠(あんきょ)、橋や建築物、堀の痕跡などをたどり、参加者は小林さんの説明に耳を傾けながら、ツアーのメイン行程となる「霊岸島」へ向かった。

 一行は、上方からの「下り酒」の集積地、新川で酒問屋の守護神として崇敬されている「新川大神宮」や四谷怪談の「お岩」とゆかりのある「於岩稲荷田宮神社」を訪問。さらに将監河岸と呼ばれた「江戸湊発祥の地」や全国の標高の基準となった「霊岸島水位観測所・公無号」を経て、佃島へ渡り、相生島、越中島へと足を延ばした。

 小林さんがガイドを務めるツアーの開催は月3~4回。ガイドをする際、落語の「枕」のように、初めは雑談で参加者の反応を見ながら、その日の展開を決めるという。「こちらが一方的に話しているだけでは印象に残らないことも多い。クイズを織り交ぜながら主体的に参加してもらえるように工夫している」と話す。

 「歴史は、『何年に何が起こった』など出来事と数字が結びついていてクイズ色が強いが、地理は『土地の理(ことわり)』という通り、土地が持つ理由を知ると次々と知識がパズルのように結びついて広がっていくところが面白い」と小林さん。「街歩きを通した目で見ると、見慣れた景色が歴史の物語と地続きになる。時代によって移り変わる役割や風景を巡りながら、街を知ることを楽しんでもらえたら」とも。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース