老舗パン店「木村屋総本店」(江東区有明1)と陸上男子400メートルハードル日本記録保持者の為末大さんが4月6日、コレド室町の仲通りで「パン食い競争」を初開催した。
木村屋総本店社長の木村光伯さんによると、友人だった為末さんと2人で「何か企画できないか」との話から、「スポーツのハードルを下げる」「本気でやらなきゃ意味がない」などと盛り上がり、半年たたず実現にこぎ着けたという。「桜フェス日本橋2024」の一環。
大会初開催に当たり、「スポーツ『パン』シップ」5カ条を制定したほか、「パン食い競争公式ルール」も決めた。「コースは30メートル」「パンをつるすさおはコース中央に設置」「パンの高さの可動は自由」「パンを挟む圧力は400グラム以上500グラム以下」「パンの重量は50グラム以上100グラム以下」「パンをつるすひもは長さ30センチを奨」「レース中にパンに手で触れた場合は失格」「トルソー(胸、胴)部分が最も先にゴールラインを越えたものから順位をつける」「フライングは2度目以降失格」など陸上のルールを踏襲しながらの競技ルールを作った。
為末さんによると、自身が社長を務める会社「Deportare Partners」(新宿区)では現在、「楽しいパン食い競走文化を広め、幸福を世界に広げ、パンを通じて世界とつながり、世界平和を実現する」をテーマに掲げた新団体「パン食い競争協会(JPA)」設立に向け準備を進めているという。
この日の開会式では、木村さんが「スポーツ『パン』シップ」にのっとり選手宣誓を行った。木村さんは来場者に、世界初回開催のため優勝者はおのずとパン食い競争の日本記録、日本橋記録、世界記録保持者になれると説明したほか、つるしたあんぱんの中には皇室御用達の「桜あんぱん」もあると明かし、会場では拍手が起きていた。
コレド室町1・2の間を通り福徳神社??居へと続く仲通りに設置した、幅3.5メートル、長さ30メートル、4レーンのコース中央には袋入りあんぱん4個が下げられた。当日は全6試合を行った。事前予約制だったが、急きょ「飛び入り参加枠」も設けて約200人が参加した。
家族3世代で参加したという長男の星龍介さんは「途中、両隣の2人に抜かれて焦ったが、完走できたし楽しかった」と話す。第1部で暫定1位通過となった星麻帆さんは「パン食い競争は初めてだったので、うまくできるか心配だったが、思ったより簡単にできた」、祖母の麻樹さんは「為末さんのXの『長文ファン』で、長文ツイートでこの企画を知った。家族で参加できてうれしい」と話していた。
優勝は、6秒57の記録を打ち立てた中学生の岡部航一さん。優勝の副賞として「パンのトロフィー」が贈呈された。木村さんは「さまざまな方がとても楽しそうに、かつ真剣にレースに向き合ってくれた。今後も日本橋でパンがつなぐ人との縁を増やしていけたら」と話す。
同イベントは後日、大会参加人数と同じ数のあんぱんを中央区の子ども食堂に寄贈することで完結するという。