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日本橋で「短期習得」三味線講座 3カ月後に成果発表、最後の追い込み

最年少受講者、中学3年生の成田さん

最年少受講者、中学3年生の成田さん

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 ワークショップ「3カ月で三味線できるかな?日本橋2024」の成果発表となる演奏会に向けた最後の練習会が4月7日、コレド室町内にあるレンタル和室「橋楽亭」(中央区日本橋室町1)で行われた。

成果発表に向けて最後の追い込み

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 主催は、一般社団法人「玉の緒会」。伝統芸能体験活動助成プログラムの一環として行っている同ワークショップでは、三味線初心者が長唄三味線に挑戦し、月に2回の合同練習と本番前リハーサルの計6回の実技指導を受け、3カ月後に日本公会堂で演奏を披露する。今回は定員枠を超える応募があり、32人が受講した。玉の緒会ではこれまで同ワークショップを、神田明神、横浜、芝浦で開催している。

 同会スタッフによると、日本橋の受講者は近隣住民もいるが、日本橋かいわいで働いている人が多いという。講師を務める→杵屋勝くに緒(きねやかつくにお)さんが代表の「玉の緒会」は、三味線に親しむ層を広げようとの思いから2021年に長唄三味線を軸とした日本の文化・知識の継承をするサークル活動を社団法人化した。

 今回の受講募集では、三味線に触れる機会が少ない若年層にも届くようSNSでの発信を強化。チラシのデザインもレッスン内容が一目で分かるよう工夫を施した。初心者参加のハードルを下げるため三味線のレンタルも行っており、自宅に持ち帰って自主練習もできる。

 グループごとのレッスンで仲間と協力しながら上達できるなどの環境も用意。全体練習などのレッスン動画を受講者同士で共有できるようにするほか、リモートでの質問も受け付けるなど自主練習サポートに力を入れる。

 杵屋さんによる三味線指導は、「待機しているときは、さおの胴より(十番くらい)に手を置く」「移動するときは下ざおのつけ根辺りを持って運ぶ」などの基本的な所作や心得から始まり、練習がグループ単位から、本番を想定したフォーメーションに移ると、「テンポをもう少しゆっくりと」「自分の音も周りの音も聞けるくらいの音量にして、よく聞いて弾いて」など、より具体的に変化する。杵屋さんは「3カ月という短い期間だからやる気になる。元々の経験値に差があっても、合唱のように周りに合わせながら一体化してうまくなるのが良い。初心者の方にどんどん来てほしい」と話す。

 最年少受講者で現在中学3年生の成田祥恵さんは「TikTokを見ていたら三味線のショート動画が流れてきて、きれいな音色にひかれた。それを知った母がチラシを見つけてきてくれたのが受講のきっかけ。本番が近づき緊張するが、全力を出し切りたい」と意気込む。

 これまで三味線に触ったことがなかったという会社員の竹本典子さんは「平日は仕事と家事に追われて思ったように自主練がはかどらないため、練習日に集中して取り組むようにしていた」と話す。

 オーケストラでトロンボーンを吹いていたという武田亮さんは、日本文化の継承に興味があり受講したという。「三味線には音符の中に特有の間(ま)があり、音色の出し方も特徴的でクラシック音楽にはない要素がある。触れてみると、弦楽器の圧、振動が身体に響くのも魅力」と話す。「自己主張が強いロックのようなイメージもあったが、それは津軽三味線で、長唄三味線はまた違った。合唱をしているようなイメージ」とも。「唄いや小鼓が入るときには、自分の音をなじませるにはどうしたら良いかと考え、より調和を意識する。3カ月たってこつをつかみつつあり、続ければもっと楽しくなると思う」と笑顔を見せる。

 杵屋さんは「2月11日から始まったワークショップも、残すは20日のリハーサルと21日の本番のみ。最終回を終えると、皆晴れやかな表情になっている。ワークショップ終了後も7、8人は継続するし、続けなくても曲が体に染み込んで、いい思い出になるはず」と話す。

 4月21日の本番「長唄 玉の緒会」は、日本公会堂(中央区日本橋蛎殻町1)4階ホールで開催する。日本橋受講生の出番は2番目で「手ほどき」と題して「春駒」「お江戸日本橋」「寄せの会方(勧進帳)」の3曲を演奏する。

 10時30分開場、11時開演。チケットは全席自由=2,500円。予約は「玉の緒会」ホームページで受け付ける。

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