「メタバースジャパンサミット2024」が9月25日、日本橋の室町三井ホール&カンファレンス(中央区日本橋室町3)で開催された。主催は一般社団法人「Metaverse Japan」(渋谷区)
日本橋で「メタバースサミット」 2024年はメタバース加速の年
社会にメタバースを実装することを目標に2022年にスタートした同イベント。3回目となる今回は日本橋に会場を移しての開催となった。会場は、メインとオープンの2ステージ、大手やベンチャー企業のブースコーナーで構成。メインステージでは、教育、都市空間、新経済圏の3テーマに焦点を当てたセッションを行い、オープンステージでは自治体や教育現場でのメタバース活用事例や、マーケティング分野におけるメタバースの事例などを紹介した。ブースコーナーでは、「J.フロント リテイリング」、大日本印刷、トランスコスモス、パスコなど6社が出展した。
登壇者たちは、メタバースを現代社会により広く浸透させ、新しい価値を創造しようとする意図や今後の可能性について意見交換。年を追って躍進するメタバースの技術実装に期待を込め、開催テーマに「Next メタバース/新メタバース宣言」を掲げた。
自治体と共に糸島市の地方創生を行う「メタバース×自治体 糸島市PJでの取り組み」では、ハワイから糸島市へ移住したクリエーターで起業家の平野友康さん、慶應義塾大学 AI・高度プログラミングコンソーシアム 特任教授の奥出直人さんらが登壇。2021年から実装している「糸島サイエンスヴィレッジ まちづくり構想」について、さまざまな角度からの取り組みを説明した。平野さんによると、「ISV」は、官民が生成AIなどのテクノロジーなどで町づくりの研究実装にアプローチを取りながら、20~30年かけて九州大学周辺に科学の町を創出することにより、糸島市を若い人が集まる場所に変えていく構想だという。
総務省情報流通行政局参事官の山野哲也さんによる「安心・安全なメタバースの実現に向けて -総務省の取組を中心に-」では、2023年10月から開催された「安心・安全なメタバースの実現に関する研究会」の報告書を解説。メタバースの自主・自律的な発展と信頼性向上のための基本的な考え方を説明し、メタバースの市場や技術の動向を含む最近の話題、ユースケースなどのほか、経済協力開発機構(OECD)などにおけるメタバースや関連技術に関する国際的会議で交わされている議論についての最新状況を紹介した。
メインステージを締めくくるのは、初企画の授賞式「Japan Metaverse Awards 2024」。計142件のエントリーの中から、メタバースの可能性を追求するハッカソン「Metaverse Japan Hackathon」と、2024年にメタバース領域で業界をけん引するプロダクトやサービスに対して「Metaverse Japan大賞」として「ソーシャルイノベーション賞」、「クリエイティブデザイン賞」、「技術革新賞」などを表彰した。
KDDIオープンイノベーション推進本部本部長の中馬和彦さんは「3年前に協会を作った時と比べて、クオリティーも幅も広がった。どの作品も使えるし、魂がこもっている。メタバースは体験ツールなので、説明するよりもパッと見て誰にでも分かるようなものが優れている。コロナで実際の活動が制限された際、技術に先立ってメタバース空間に人々が集まっていたところに、2024年は実装が追いつき加速度的に可能性が広まっている」と話す。
登壇者の1人で審査員を務めた、VR/AR/MR/NFT/Metaverseアーティスト・ライブペインターのせきぐちあいみさんは「どの作品もすばらしく、突き詰めれば世界を目指せる。これからのメタバースは『知っているだけでなく、触ってみる』こと。一緒にこの世界をよりよくできたら」と期待を寄せる。