薬研堀不動院(中央区東日本橋2、TEL 03-3866-6220)周辺で12月27日、「納めの歳の市」が始まった。近隣の衣類や日用雑貨の問屋が格安で在庫を販売する「大出庫市(おおでこいち)」も同時開催する。
納めの歳の市は、江戸時代から続く恒例行事。約100軒の露店が立ち並び、暮れのそうじ用品や正月用品を販売する。「歳の市保存会」会長を務める渡辺秀次さんは、1872(明治5)年創業の合いガモすき焼き店「あひ鴨一品 鳥安」(東日本橋2)の5代目。歌舞伎役者の6代目尾上梅幸による芸談集「梅の下風」には、梅幸が同市で羽子板を買った後、鳥安で食事をするくだ下りがあるなど、同市とは歴史的に縁が深い。「羽子板の露店は客も店も華やかで、子どものころは露店の周りで遊ぶのが楽しみだった。このごろは羽子板を飾る店や家庭も少なくなり、10年ほど前からは羽子板の店は1軒も出なくなった」と振り返る。
「最近は近隣にマンションが増え、地域に住む方も多くなった。新たに来られた住民の方に、こういった行事にいかに親しんでもらえるかが今後の課題」と渡辺さん。新しい試みとして、今年は27日・28日限定で、根菜と地元の名産品である七色唐辛子を使ったスープ(300円、各日200食限定)の屋台が出店。昨年からは「日本橋めぐりの会」によるまち歩きイベント「納めの日本橋七福神めぐり」の同時開催も始めた。千疋屋総本店(日本橋室町2)前を出発し、日本橋七福神を詣で、納めの市を見学した後、薬研堀不動院で講談を聞く。参加費は5,000円(昼食付き)。
開催時間は11時~20時。29日まで。