兜町町会が今年、住民と企業を補完する「完全兜町計画」を始動した。
住民・企業再集結のシンボルとしてTシャツには東証アローズのマークを配した
世界経済の一角を担う東京証券取引所(中央区日本橋兜町2)がある同町。古き時代、立会場で身ぶり手ぶりで株式を売買する「場立ち」の人々でにぎわった。当時は、多くの証券会社が同町に本社を置き、365日24時間態勢で駐在する社員も多くいたことで、かいわいはその胃袋を満たす飲食店や商店でにぎわい、「いつでも必ず誰かが動いている街」だったという。
しかし、1999年に証券取引が完全電子化。かつて数百人いたという場立ちの姿が消えた。その後、同町からは多くの企業が転出し店舗の数も激減。昨今の不況も相まって、かつて誇った「世界の兜町」は見る影がない。
このような状況下、同町町会は人が消えた街を補完すべく、「完全兜町計画」を立ち上げた。住民と店舗、企業が協力して活性化に取り組み、にぎわいのある「完全兜町」を目指す。今年春から会合を重ね、地域防災における相互補完体制の構築やイベントの共同開催に向けて準備を進めている。
計画の第1弾として、町会と東証がコラボした「兜町Tシャツ」を制作。11月9日、東証西口のミュージアムショップで限定販売を始めた。デザインは、同町に事務所を構えるスポーツウエアデザイナーの塚田秀伸さんが手掛けた。
「昭和中期以降、大手企業の人間ばかりでなく、ギャンブル感覚の個人投資家までも場立ちするようになったという。山気の多いギラギラした人があふれる人間臭い街だったのだろう」と塚田さん。「当時は景気も良くて企業と住民の関係も良好だったが、最近では祭りの寄付を募るのも難しい状況」と嘆く。
「住民と企業の再集結を図るなら、やはり東証をフィーチャーしないと兜町はあり得ない」と、Tシャツには東証アローズのマークを配し、これを計画の「ファーストインパクト」と位置付ける。今後、完全兜町に向けたさまざまな「補完計画」を推進する。
TシャツのサイズはS・M・Lを用意。価格は1,000円。限定100枚。来年以降、新柄を追加していくという。