三井記念美術館(中央区日本橋室町2)で開催中の特別展「奈良の古寺と仏像~曾津八一のうたにのせて~」の終了まで1カ月を切った。
奈良平城遷都1300年の節目を記念して、日本の宗教文化の原点である奈良の古寺や、芸術性の高い仏像を紹介し、日本の宗教の奥深さ、美的感性の高さを知ってもらいたいと企画された同展。連日、年配層を中心に観覧者が絶えない人気の展示となった。
法隆寺、東大寺、薬師寺、唐招提寺、興福寺、西大寺、大安寺、室生寺など奈良の古寺に伝わる、飛鳥時代から室町時代の仏像46点(国宝2点、重要文化財33点)、仏教工芸品19点(国宝1点、重要文化財11点、奈良県指定文化財1点)の計65点を、7つの展示室で一堂に展示。
特に、奈良時代の乾漆像(かんしつぞう)である西大寺の塔本四仏像は、4体のうち2体は東京と奈良の国立博物館に1体ずつ寄託されているため、4体がそろうのは20数年ぶり。そのほか、法隆寺夢違観音像(国宝)、室生寺釈迦如来坐像(国宝)などが東京で間近に鑑賞できるのは、「滅多にない機会」だという。
江戸時代以来300年に及ぶ三井家の歴史のなかで収集された多数の日本・東洋の美術品を収蔵する同館では、専門スタッフの知見を背景に、仏像の形の宗教的意味や時代による様式の変遷、材質や造像技法、制作者である仏師などについて詳しく解説する。
「奈良の地をこよなく愛し、歌人、美術史家、書家として活躍した会津八一の多彩な作品も併せて展示する。その歌にのせて、それぞれの仏像の美しさにぜひ触れてもらいたい」と広報事務局の富樫純子さん。
入館料は、一般=1,200円、大学・高校=700円、中学生以下無料。
開館時間は10時~17時(入館は16時40分まで)。月曜休館(9月20日は開館)。9月20日まで。