日本橋の名所旧跡、特産品、郷土が生んだ偉人などを詠み込んだ郷土かるた「日本橋かるた」の制作が現在、日本橋地域ルネッサンス100年計画委員会により進められている。
群馬県の「上毛かるた」を参考に、日本橋の歴史や文化を広め、地域の活性化を目的として制作される同かるた。47の詠み句は、昨年実施した一般公募によって4,000句以上の中から選ばれた。最優秀賞「山王と神田は仲良く天下分け」、優秀賞「クールビズ日本橋へは浴衣着て」、審査員特別賞「ベルリンで江戸を知らせる絵巻物」など、過去と現代につながりを感じる作品が多い。
「当初は小中学校の授業を通じた普及を想定し、子ども向けの内容を検討していた。しかし、応募された読み句を見て、これは大人にも伝わる本当に価値のあるものにしなくてはと思った」と同委員会の畠山隆史さん。そこで方針を変更し、かるたの絵札デザインを「長く色あせない『本物』にしたい」と選考を重ねた結果、東京出身の若手浮世絵師・6代目歌川国政さんに任せることになった。
歌川さんは1978(昭和53)年生まれ。過去の伝統を受け継ぎながら、「今」と「未来」を表現する浮世絵師として、既成概念にとらわれないスタイルが注目されている。現在は、同委員会スタッフが詠み句一つひとつの解説文を作成しながら歌川さんに各句のイメージを伝え、作業を進めているという。
「子どもたちには難しい言葉も多く、遊んでいるときは意味が分からないかもしれないが、本物に触れることで学び、将来その価値を理解してくれると思う。子どもにこびず、あえて背伸びをさせるのも日本橋らしさ」と同委員会の水戸部孝子さん。
年末までの完成を目指し、来年初春には同かるたを使った「かるた大会」の開催を検討しているという。