「第6回日本橋くされ市」が5月26日、日本橋大伝馬町恵比寿通りで開催された。主催は、べったら市地域振興会(中央区大伝馬町)。
地元住民と新規住民の交流を目的にした同市。「くされ市」とは、がらくたや河岸の残り物を売買する市という意味で、「べったら市」の前身として江戸中期から同エリアで開かれていた。年末に向けた神仏への供え物を売る市として発展した10月の「べったら市」に対し、春の地域イベントとして2014(平成26)年に同振興会が復活させた。
大伝馬町恵比寿通りは、江戸時代に城と下町をつなぐ常盤橋御門から日光、奥州街道沿いにつながる交通の要所。木綿問屋や浮世絵版元、呉服店などの老舗が軒を連ね、江戸一番のメインストリートとして繁栄していた。
現在はオフィス中心の街で休日の人通りも少ないが、マンション開発も盛んで、近年は、子育て世代や近隣で働くサラリーマンなど新規住民が増加しているという。同市には毎年、地元企業や新旧住民が出店し、近隣の家族連れなど3000人を超える見物客でにぎわう。今回も、同通りの一部を封鎖した「ブロックマーケット」として展開した。
イタリア料理店「ラ・ファリーナ」(日本橋富沢町)、洋食店「レストラン桂」(室町2)、「鉄道居酒屋キハ」(日本橋堀留町)などの飲食店のほか、1590年創業の老舗「伊場仙」や日本橋六ノ部連合青年部「日八会」(日本橋1)など近隣の店舗や地元老舗企業、地域住民など最多の37団体が出店した。
11時から行われた開会式では、同振興会の岩崎伸一郎会長が「この大伝馬町には、昔からなりわいを続ける老舗、子育てファミリー層を中心とした新規住民、イノベーションビルで創作活動を続けるクリエーターやベンチャー企業の皆さんの3つのタイプのプレーヤーがいる。くされ市はその異なる3者が、同じステージで協業していく『場』」とあいさつ。「3者がそれぞれの持てる力を持ち寄って、大伝馬町らしい新しい価値が創れれば」と期待を寄せていた。
子育て中の父親約300人で構成する「日本橋パパの会」の眞鍋裕亮さんは「今年は子どもレクリエーションとして『バルーンアート』と『ひもくじ』屋台を運営した。子どもたちと一緒に客引きして、運営している。1回50円だが、最初から赤字覚悟。子どもたちとのいい思い出づくりになれば」と話していた。
「レストラン桂」の手塚清文さんは「今回初めてのメニュー『ビフカツラ』を提供したところ、お客さまの反応は上々。ビールも完売した。お客さまに『お店はどこにあるの?』と何回か聞かれた。いい宣伝になった」と笑顔を見せていた。