日本橋人形町3丁目から富沢町、大伝馬町にかけた大門通り周辺で、ウミネコの繁殖が話題となっている。
ウミネコはチドリ目カモメ科カモメ属に分類される定住型の水鳥。水辺の岩礁や断崖に営巣し集団繁殖地(コロニー)を形成する。東京では隅田川べりや東京湾河口などに生息するが、水辺から1キロ以上離れた同エリアで見掛けられることはなかった。今年になって急に増えだしたという。
富沢町で会社を経営する小堺裕一郎さんは「今年4月ぐらいからネコに似た独特の鳴き声が聞こえ始めた。ゴールデンウイーク明けぐらいから昼間でも数羽並んで飛んでいるのを見掛けるようになり、近隣の飲み屋でも話題になっている。日本橋の新しい住民なので温かい目で見守ってあげたい。早朝の目覚まし代わりにちょうどいい」と話す。
富沢町のカフェ「元オムチャントーン」(日本橋富沢町4)マスターのDoichanさんは「旧築地市場の解体が進み、周辺に生息していたウミネコが豊洲に行かずにこちらに来たのではないか」と推測する。「鳴き声は昨年から今年にかけて完成した高層のビルやマンションの屋上から聞こえてくる。中央区が推進してきた屋上緑化もウミネコが住みやすい環境づくりに一役買ってしまったのでは」とも。
近隣に住む会社員は「ウミネコが増えた影響か、最近は富沢町周辺でカラスを見かけなくなったが、隣町の堀留公園に集結しているらしい。そのとばっちりで公園に住み着いていた野良猫とハトがいなくなったそうだ。渋谷や新宿のようなネズミの増殖よりはましだが、白いふんが道路のあちこちに落ちているのが気になる。ウミネコは毎年、初夏に産卵するらしいので、ちょうど子育ての真っ最中だと思うが、巣立ったウミネコが富沢町に定着してしまうのが心配」と話していた。