今年5月に完成した中央区立常盤小学校新館(中央区日本橋本石町4)に11月30日、資料館「日本橋歴史アーカイブス」がオープンした。主催は常盤学校校友会。
常盤小学校新館に資料館「日本橋歴史アーカイブス」 街の歴史、文化を保存
同校付近にある「常盤橋」は、江戸城と下町をつなぐ唯一の橋として江戸初期から人々の往来も多く、同エリアは商店が軒を連ねる江戸一番の繁華街として栄えてきた。
同資料館は、江戸文化の歴史資料と、江戸町衆の心意気を後世に伝える施設として2016(平成28)年、同校卒業生と日本橋地域ルネサンス100年計画委員会メンバーらが中心となり建設を計画。江戸東京博物館の竹内誠名誉館長監修の下、準備を進めオープンにこぎ着けた。
明治政府が小学校令を制定する13年前の1873(明治6)年3月、日本橋の旦那衆が子弟教育の場として設立した「幼童学所」が前身の同校ではこれまで、日本橋の街づくりにかかわる多くの卒業生を輩出してきた。
同校新館1階の一角を占める同施設約30平方メートルの室内では、日本橋旦那衆の動画インタビューをまとめた「日本橋インタビューアーカイブス」、明暦の大火で焼失した江戸城天守閣を再現した「江戸城CG動画」、日本橋に関連した浮世絵や画像、古ハガキを集めた「画像アーカイブス」の3コーナーを展開する。床や壁には、歴史研究家の中村静夫さんが作成した「江戸之下町復元図」の拡大プリントを貼り付けた。同図は江戸末期の古地図を現代の地図上に縮尺を合わせて重ね、街の変化が視覚的に把握できるようにしている。
「日本橋インタビューアーカイブス」では、「榮太樓總本舗」4代目で相談役の細田安兵衛さんや「伊場仙」14代目当主の吉田誠男さんなど、同校卒業生11人が登場。老舗に代々伝わる家訓や日本橋の歴史や文化を紹介している。
同校校友会会長で江戸から続く日本料理店「日本橋とよだ」4代目で会長の橋本敬さんは「インタビューアーカイブスは現在11人だが、これから徐々に増やしていく予定。日本橋は再開発が相次ぎ、街の姿はどんどん変わってきている。今しか聞けない、日本橋の貴重な話をアーカイブしていきたい。気軽にのぞいて日本橋の歴史と文化に触れてみてほしい」と話す。
開館時間は18時~21時(土曜・日曜=9時~21時)。日曜・祝日休館(学校行事に準ずる)。