「かつお節体験教室」が9月24日、日本橋の鰹節専門店「にんべん」(中央区日本橋室町2 TEL:03-3241-0241)で開催された。
1699(元禄12)年の創業からかつお節を扱ってきた同店が、顧客作りと「だし」の魅力の発信の一環として2019(令和1)年から年に数回展開してきた同企画。昨年は新型コロナウイルス感染拡大で中止となったため、今回が2年ぶりの開催となる。
教室では、同社日本橋本店の鈴木健太郎店長が動画と実演で製造工程やかつお節の見分け方、同店で販売する「鰹節削り器」を使った削り方をレクチャーした。20分ほどの動画では、水揚げされたカツオを職人がかつお節に仕上げる約半年間の工程を解説。削り体験では、木づちを使って削り器の前後を叩く微妙な刃の調整法や、かつお節の皮目を上に持って一方向に削るという削り方のコツを伝授し、参加者が挑戦していた。
神田から来たという女性は「店頭で体験教室の案内を見て参加した。家に古い削り器があるが、今までは直接刃を叩いて調整していた。刃の具合でかつお節の仕上がりが全然違う。とても参考になった」と笑顔を見せていた。
「にんべん」13代当主で社長の高津伊兵衛さんは「日本食文化は2013年にユネスコ世界無形文化遺産に認められたが、その一端を担う『だし』はカロリーがほとんどないにも関わらず料理をおいしくし、満足感を与えてバランスのよい健康的な食生活にも貢献してくれる」と話す。「日本食は世界から注目を浴びているが、日本人自身が自らの食文化の良さを認識していないようにも思える。長い歴史の中で培われたかつお節や『だし』を通して日本の食文化の魅力を一人でも多くの方に伝えていきたい」とも。