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日本橋の老舗かつお節店「にんべん」当主が出版 創業320年の歴史振り返る

「かつお節と和食の魅力に触れていただくきっかけになれば」と話す「にんべん」13代当主の高津伊兵衛さん

「かつお節と和食の魅力に触れていただくきっかけになれば」と話す「にんべん」13代当主の高津伊兵衛さん

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 日本橋のかつお節専門家で「にんべん」当主高津伊兵衛さんによる著作「だし再発見のブランド戦略」が5月28日、PHP研究所から出版された。

再開したコレド室町1階の「日本橋だし場」

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 1699(元禄12)年創業の同店は、日本橋を代表する老舗の一つ。昨年創業320年を迎え、今年2月には高津さんが「13代当主高津伊兵衛」を襲名。今回はこれを記念して上梓したという。

 江戸時代の庶民の暮らしや老舗の変遷を知る資料は、度重なる大火や震災、戦火で多くが灰じんに帰しており、同書は今年3月に高津家所蔵の古文書をまとめて出版された「江戸日本橋商人の記録 -〈にんべん〉伊勢屋高津伊兵衛家の古文書-」と併せて、当時の日本橋の人々の様子を後世に残す歴史的資料となる。

 同書は「お客さまとにんべん」「だし文化の日本史」「新市場への挑戦」の3部で構成。「現金掛け値なし」の販売手法や日本初の「商品券」、「本枯かつお節製法」など知恵を絞りながら歴代当主が守り抜いてきた「にんべん」の経営や、伝え続けてきた「だし文化」の歴史、「フレッシュパック」「つゆの素」に見られる商品作りの軌跡や未来への展望などをB5判全250ページにまとめた。

 高津さんは「新型コロナウイルスが猛威を振るう中、『にんべん』も存続をかけて対策を練っている。過去にも大火や震災、飢饉(ききん)、疫病など幾多の厄災を日本橋の商人が力を合わせて乗り越えてきた歴史がある。今回も過去の歴史を振り返り当時の苦難をひもとくことで、未来につなげる知恵を生み出すことができるのでは」と話す。

 「日本橋の勉強会仲間の縁でPHPさんを紹介いただき出版に至ったが、『社員に、にんべんの歴史を再度知ってもらいたい』というのが一番の理由」と高津さん。「日本橋の歴史や『だし文化』、『にんべん』の商品開発についても触れているので、江戸文化や和食に興味のある方にも楽しんでいただけるはず。若い世代に、かつお節と和食の魅力に触れていただくきっかけになれば」と笑顔を見せる。

 価格は1,760円(消費税込み)。収益は新型コロナウイルスの影響を受けている飲食に関わる人々の活動に寄付するという。

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