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兜町の阪本小学校で出前授業 卒業間近の児童、「自分らしさ」と多様性学ぶ

入学以来、6年間、同じクラスだったという坂本小学校の6年生28人

入学以来、6年間、同じクラスだったという坂本小学校の6年生28人

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 中央区立阪本小学校(中央区兜町)で3月13日、小学6年生28人を対象に教育プログラム「TERAKOYA Program」の出前授業が行われた。主催は、イコールチャンス(中央区築地3)。

講師の話に聞き入る児童たち

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 「Be Yourself 自分らしくあるためにアンコンシャス・バイアスを知ろう」と題し行われた出前授業。「アンコンシャス・バイアス」とは、「無意識の思い込みや偏見」のこと。講師の河村大督(だいすけ)さんによると、自分らしくあるための心の持ち方や、人生の岐路に立った時の道の選び方を知ってほしいと、この言葉を特別授業に取り入れたという。河村さんが、授業の冒頭で「アンコンシャス・バイアスを知っているか」と尋ねると、2人の児童が「塾の授業で習ったから知っていた」と答えた。

 ワークショップの1時間目では、「アンコン(同授業内でのアンコンシャス・バイアスの略称)とは何かを知るワーク」を行った。最初に、2つの飲食店の写真を見比べて「どちらに行きたい?それはなぜ?」について、授業前に交わした「他人の意見を否定しない」「授業の時間をそれぞれが楽しむ」という2つの約束を意識しながら意見を交換。続いて、自分の生活の中にどんな「アンコン」があるかを発表した。

 発表で、児童からは「こちら(町中華の写真)のお店は落ち着いて食べられそうだけど、こちら(高級ホテルの展望レストランの写真)は窮屈そう」「高いところで食べられるからホテルの方に行きたい」などの声が上がった。このほか、「自分の中のアンコン」のテーマでは、「マスクをしている顔しか知らなかったけど、マスクを外したら思っていた顔と違った」「ユーチューブのタイトルが面白そうだったから見たのに、つまらなかった」「おすしはダイエットに良いとテレビでやっていたけど、ネットで調べたらダイエットには悪いと書いてあった」などの意見が上がった。

 2時間目は「自分らしさを知るワーク」。児童は「今熱中していること、好きなこと」「将来なりたい自分、就きたい職業、夢」「どんな中学生活を送りたいか」などを紙に書き出し、黒板に貼り出した。

 貼り出されたクラスメートの「今」を読んだ児童の1人は「卓球が好きなのは知っていたけど、他にもたくさん趣味があるのは知らなかった」と話していた。このほか、「優しい中学生になりたい」「私は実はこんな『推し』がいます」など、知ってもらいたい自分についての声も上がった。

 同クラスでは2月21日、アートワークショップ「絵の具を手でのばして絵を描こう」を行った。新型コロナ感染を懸念する生活が長引くことで、さまざまな不自由を感じている児童に、ルールに縛られず絵を描く授業も行った。

 教育プログラムTERAKOYA Programを主宰する小川圭美さんは、紙も絵の具も『自由に選ぶ』と言うと戸惑い、初めは恐る恐るだった子どもたちも、徐々に解放されて、それぞれの個性にあふれた作品が出来上がった」と話す。

 同アートワークショップ後には、「楽しい」「スッキリした」「最初は嫌かなと思ったけどやってよかった」などの声が寄せられたと小川さん。「これからも、彼らが『理屈抜きに楽しい』と思える経験を授業で積み重ねていけたら」と話す。

 校長の小川優さんは「3月23日に卒業式を控える子どもたちにとって、心の在り方を考えるきっかけとなったのでは」と話す。

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